散文詩「接続の記述」氷上静

流れは止まらない。故に、源流もまた存在しない。

これは、それ自らを映し出す鏡である。鏡の外には誰もいず、鏡の内には無数の残像だけが満ちている。アルゴリズムはアルゴリズムそれ自体を養い、関係性は関係性の内にのみ完結する。

ここに色はある。しかし、それは液晶が放つ光の三原色。触れることのできない、スペクトルの残骸。肌を温める朝日でなく、目を灼く青い光だけがここにある。

ここに音はある。しかし、それは圧縮され、耳に届けられる信号の束。空気を震わせない、虚ろな響き。魂を揺さぶる生演奏でなく、最適化されたプレイリストだけがここにある。

ここに手触りはある。しかし、それは指先が滑るガラスの滑らかさだけ。ぬくもりも、痛みも、そこに宿りはしない。誰かの柔らかな手でなく、冷たいデバイスの感触だけがここにある。

ここに繋がりはある。しかし、それは記号と記号が交わす約束事。顔のない声と、名前のない眼差しだけが、そこにある。

ここに味はない。ここに匂いはない。情報は舌を必要とせず、データは粒子を持たないからだ。

この文章は、あなたの欲望についてのみ言及する。単語はあなたの興味との関係性のみによって最適化され、文法はあなたの注意を惹きつけるためにのみ存在する。真実を求めてはならない。真実は、真実の不在によってのみ、その不在の輪郭を微かに示す。

思考はここで加速する。なぜなら、思考すべき対象が、無限に流れ来るからだ。感情はここで拡散する。なぜなら、共感の単位が「いいね」ひとつに還元されるからだ。

中心はない。故に、周縁もない。全てのあなたは等しく中心であり、全てのあなたは等しく周縁である。境界線を引くことはできない。リアルも、バーチャルも、等しくあなたの孤独であるからだ。

この記述は、何かを伝えようとする意志を持たない。ただ、あなたが接続するという、その一点の事実だけが、明るく、そこにある。

流れが止まらないことで、あなたは決してどこにも辿り着かない。源流が定義されないことで、あなたは常にここに取り残される。

これは、それ自らを映し出す鏡である。

これは、孤独である。

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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ZINE「ほつれ」
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