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箱庭小説

箱庭小説「鈴が鳴る」|地層3

気象庁が今年も「梅雨入りしたとみられる」と、その一言に科学の誠実さを詰め込んで発表した日の午後。ここあん鉄道「大学前」駅のホームには、肌に粘つく生ぬるい空気が澱んでいた。鉄美鈴くろがねみすずは、駅務室の窓から灰色の雲が低く垂れ込める空を見上...
箱庭コント

箱庭コント317「全肯定の鏡」

【登場人物】矢尾 玲子:自称ステキさん。世界のすべては、ステキさん(自分)を輝かせるためにある。ダダダさん:不思議おじさん。相手の言葉を全肯定する。徒然士:文芸評論家。曖昧な関係や定義できない事象を見ると、モヤモヤする。【場面設定】ここあん...
箱庭小説

箱庭小説「ラブちゃんの筑前煮」|地層3

午後の遅い日差しが、居酒屋「ここきた」の磨かれた窓ガラスを通り抜けて、店内をさざ波のように輝かせていた。まだ客の来る時間ではない。活田地区の学生街の喧騒も、この路地裏までは届かず、しん、と静まり返った店内は、夜の賑わいが嘘のようだ。渡良瀬愛...
箱庭小説

箱庭小説「たたこは夢の中」|地層3

うたた寝は、浅い海の底を漂う感覚に似ている。音のない世界。重力から解き放たれた手足。意識と無意識の境目で、クラゲのように、ただゆらゆらと。たたこはベッドの上で猫のように丸まっていた。窓から差し込む初夏の光が、彼女の黒髪を淡く縁取り、マリンス...
ZINE・住民のつぶやき

海野みかんのヴィネット講座(3)「ヴィネット」の未来は明るい?|ここあん高校メタ講義録

こんにちは、海野みかんです……って、名前はもういいか。前回までの講義で、ヴィネットの基本的な性質や、具体的な作品分析など、かなり深いところまで掘り下げてきました。今日は、さらにもう一歩踏み込み、ヴィネットという形式が持つ可能性や、他の芸術と...