「段階的開放に伴う業務指針と、移動図書館の役割再定義について」高島雅也
皆さん、おはようございます。ここあん村立芸術図書館は、三年間にわたる「完全閉鎖」という異常事態に終止符を打ち、一階および二階の一部を村民に開放しました。
まず、今日という日を迎えられたのは、建物が支援物資の倉庫と化していた暗黒の期間、移動図書館車二台だけで「図書館」という看板を背負い続けてくれた皆さんの尽力があったからです。これは、単なる慰労の言葉ではなく、事務局としての客観的な評価です。
さて、一部で「本館が再開すれば、移動図書館はその役目を終え、縮小されるのではないか」という根拠のない噂が流れているようですが、この場で明確に否定しておきます。
むしろ、逆です。
今回の五カ年計画において、移動図書館は、本館の代替手段ではなく、本館の機能を補完し、拡張するための「能動的な攻めの拠点」として再定義されました。
この三年間、皆さんが積み上げてきた実績を分析しました。 貸出冊数という数字以上に特筆すべきは、本館が機能していた頃には決してリーチできなかった層——つまり、家を失い、移動手段を奪われ、心を閉ざしていた「潜在的利用者」との接点を、皆さんが現場で創出し続けてきたという事実です。
本館の開放によって、これから図書館は「利用者が訪れる場所」という本来の重力を取り戻します。しかし、それだけでは不十分です。 「アレ」以降、生活圏が変わり、心理的な距離から図書館へ足を運べない村民はまだ大勢います。本館が一階、二階と「秩序」を取り戻していく一方で、ロマコメ号たちは、その秩序の手が届かない場所へ「無秩序な現実」に寄り添いに行かなければなりません。
本館は「深く静かな思索」の場となり、移動図書館は「温かな対話と発見」の場となる。 これが、これからの我が図書館のダブルエンジンです。
菜箸さん、君が日報に書き続けてきた「ポエム」……失礼、あの現場の断片的な記録からも、本が単なる情報媒体ではなく、被災した村民の心のインフラになっていることが証明されています。 そのインフラを、道路が続く限りどこまでも伸ばしていくのが皆さんの仕事です。
今日から本館のカウンターには、久々に村民の皆さんの顔が並ぶでしょう。 しかし、移動図書館のスタッフは、浮き足立つことなく、いつも通りエンジンをかけてください。 建物に灯った明かりと、村を走る黄色い車体。この二つが揃って初めて、ここあん村の文化復興は始まります。
以上です。各自、持ち場へ。
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