ものがたり

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【外部】掌編(ものがたり屋)

「ものがたりをひとつだけ」人気のケーキ店主・丹波りんが、「あなたの物語、聴きます」と掲げる女、真田まるの営む古民家を訪れる。りんは、自分が作った漆黒のムースを「一番の毒」としてまるに味見させる。まるは、その味が純粋な心を破壊した「罪の味」だ...
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掌編「泥の塔」

エレベーターホールの床に、乾いてひび割れた泥の染みが、所在なく広がっていた。ここを遊び場にしている悪童たちの残したものか、あるいは大災害の後に隆起したこの塔そのものから染み出た泥なのか、緑野翠村長にもわからない。天井の照明はいくつか間引かれ...
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ショートショート「大遅刻の免罪符」

3丁目駅の改札口で男が泣き叫んでいた。「火曜だ! 俺が池袋を出たのは火曜の朝なんだ! なんで金曜になってるんだよ!」握りしめたスマホの画面には、取引先からの不在着信が五十数件。男のネクタイは歪み、目は血走っている。ここあん鉄道の駅員・鉄美鈴...
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コント「未定義のコースター」

ブックカフェシズカの朝。マホガニーのカウンター。静が、一分の狂いもなく磨き上げるその滑らかな銀河に、それは「こぼれて」いた。液体ではない。漆黒の絵具を垂らしたような、しかし奥行きだけが無限に続く「空間の剥離」だ。「……事象の地平面の漏出? ...
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移動図書館日記(80)

鎖を外された犬移動図書館司書・菜箸千夏の日記。避難時に犬の鎖を外した女性の痛切な記憶と、仮設の風呂の狭さを語るドライバー。身体に刻まれた記憶の庭を手入れし、新たな物語を書き込む人々の記録。[移動図書館/記憶/ペット]