喫茶店「小古庵」 ショートショート「ちょんまげ生えるわ」 珈琲の黒い水面が波打ち、映り込んだ蛍光灯が揺れる。分厚い一枚板のテーブルに叩きつけられた掌の熱が、カップの底を揺らしたのだ。「なぜだ! なぜ村の連中は使わんのだ、『ちょんまげ生えるわ』を!」徒然士ただぜんじの口から飛んだ飛沫が、小古庵の薄暗... 2026.02.22 喫茶店「小古庵」
3丁目駅 ショートショート「大遅刻の免罪符」 3丁目駅の改札口で男が泣き叫んでいた。「火曜だ! 俺が池袋を出たのは火曜の朝なんだ! なんで金曜になってるんだよ!」握りしめたスマホの画面には、取引先からの不在着信が五十数件。男のネクタイは歪み、目は血走っている。ここあん鉄道の駅員・鉄美鈴... 2026.02.21 3丁目駅
シズカな笑い ショートショート「定義不可能な一票」 登場人物:氷上静(ブックカフェシズカ)、中野小春(同)「君は、その投票先に妥当な出典を付記できるのかしら?」投票所へ向かう道すがら、氷上静は隣を歩く中野小春に問うた。手元のタブレットには各候補者の政策解剖データが並んでいる。静にとって選挙と... 2026.02.08 シズカな笑い
[コント]笑いのあぜ道 ショートショート「ボールペン」 登場人物:丹波りん、生地こね子丹波りん(35・パティシエ)は、透明なボールペンの替え芯を光に透かし、インクが途絶えた境界線をプラスチックの筒越しになぞっていた。指の腹に伝わるのはインクの感触ではなく、中身が空洞になった筒の、頼りない軽さと冷... 2026.02.04 [コント]笑いのあぜ道