環奈への手紙(2)

――命名は、解像度を低下させる行為。

手厳しいけれど、図星。 香料に「ローズ」や「サンダルウッド」とラベルを貼った瞬間、その奥にある複雑な分子の揺らぎを見ようとしなくなる。記号で括って安心したがる大人たちへの、あなたらしい皮肉。

あなたは、激しい雷雨を「迷惑」ではなく「生命のスープをかき混ぜるスターラー」と定義し直した。40億年前の原始地球。アミノ酸の合成。凄まじい閃光の中に、破壊ではなく「誕生の予兆」を見るあなたの視点。その圧倒的なまでの肯定感に、少しだけ、胸が熱くなった。

私は、一瞬で消えてしまう香りのレイヤーを設計するけれど。あなたは、何億年という単位で「地層」を積み上げていくのね。

窓を叩く雨音を聴きながら、無機質な言葉を綴るあなたの指先。そこには、科学者としての冷徹さだけじゃない、もっと「根源的な生命への愛着」のようなものが、微かに混じっている気がする。

もし、これが本当にあなたの……環奈、あなたの思考の堆積なら。私はその地層を、もっと深く、慎重に掘り進めてみたくなったわ。

次は、どんな「層」を見せてくれるのかしら。

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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ZINE「ほつれ」
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