コント「環奈、いかんな」

【登場人物】
花野 環奈
:古生物学専攻・修士2年。自分のマナー違反や不潔さを「地質学的なスケールで見れば誤差」と本気で正当化する。数日風呂に入っておらず、服は埃まみれ。
熱田 功子:ここあん大学哲学科准教授。人間社会の常識と倫理を重んじる。環奈の突拍子もない屁理屈に対して、いちいち正面から大声でキレるため、常に疲労している。

【場面設定】
深い霧に包まれた不条理の塔「ペンタ」のふもと。早稲田サテライトへ向かう学バスを待つ学生たちが、静かに列を作っている。そこへ、研究室に引きこもって衛生観念を失った大学院生が堂々と横入りをしてくることで、日常のルールと壮大な理屈が衝突する。

熱田功子:花野! あなた、また列の横から割り込んだわね! 後ろに並びなさい!

花野環奈:あー、熱田先生。割り込んだんじゃないです。これは地層における「貫入」です。古い地層を突き破って新しいマグマが入り込むのと同じ、自然の摂理です。

熱田:ここは地殻の中じゃない。ただのバス停よ! 人間社会のルールと倫理に従いなさい!

環奈:先生、地球の歴史という数億年単位のスケールで考えたら、私がバスの列の1番目にいるか15番目にいるかなんて、完全に同時期に起きた誤差の範囲です。(並んでいる他の学生たちに微笑みながら)地質年代的には区別できません。

熱田:今、この現在の停留所で、あなたの後ろで待っている学生たちの時間を奪っているの! あなたの倫理観はカンブリア紀で止まっているの?

環奈:進化に目的はありませんから。それに私、ペンタの自室でずっと生きた地層の観察をしてたんです 。今すぐ早稲田の地下に潜って、安定した堆積物になりたいんです……。

熱田:風呂にも入らずにその埃まみれの服で! 少しは自分の今の状態を客観視しなさい!

環奈:帰宅という概念がないので。それに堆積物は洗ったら流れてしまいます。私の服の汚れは、エントロピーが増大し続ける特異点の貴重な地層サンプルです。

(深い霧の向こうから、さやかっくすが運転する学バスが到着する )

熱田:さっさと一番後ろに並び直しなさい! 次に列を乱したら、本当に怒るわよ!

環奈:本当に? 権力による強制的な絶滅。

(環奈、しぶしぶ列の最後尾へ歩く)

(幕)

作・千早亭小倉

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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