外界とここあん村を繋ぐ玄関口、椎名町三丁目。ここは、都会の喧騒と村の混沌が入り交じる特異な緩衝地帯です。
時空がねじれた「3丁目駅」に降り立つと、復興の最前線であるボストー区へと続く、時代から忘れられたような街並みが広がります。
閉館した映画館「まひる座」と、ここあん4ママのひとり海ママが仕切る小料理屋「海」に挟まれた、地図から消えかけた路地の奥には、傷ついた心を編み直す「ものがたり屋」がひっそりと店を開いています。
外界の「よもやま」を引き受ける編集プロダクション「ぽんちょ」が入る古い雑居ビルや、社会からはみ出した作家たちの聖域となっているアパート「常磐荘」など、椎名町三丁目は単なる商店街でも住宅街でもありません。行き場を失った人々がふらりと立ち寄り、壊れた日常を繕いながら新たな物語の種を紡ぎ出す、愛おしくもカオスな吹き溜まりなのです。
さらに、3丁目駅の交差点には特定のパスを持つ迷い人にしか見えない、地図にない「五番目の道」が存在します。ここを通って巨大塔「ペンタ」へと向かう学バスの姿は、部外者が見てもピントが合わず、指の間からこぼれ落ちるような不確かな記憶としてしか残りません。常識が通用しない異界、五角形の巨大塔へと至る唯一の陸路が、このカオスな街の片隅に隠されているのです。

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