近未来コント「コスパ、タイパから時代はジパへ」

【登場人物】
南花焚美(20代後半):
政府倫理局(SRK)の倫理監督官で、ジェニ美の直属の上司。明るいがお人好しで、アナログな手法を好む。
ジェニ美(年齢不詳): 焚美の部下であるAI検閲官のアンドロイド。常に冷静で論理的。

【場面設定】
政府倫理局(SRK)のオフィス。ジェニ美はデスクに座り、宙に浮かぶホログラフィック・インターフェースを無表情で操作しています。その肩の周りでは、アシスタントロボットの「ぴいぷう」がふわりと浮遊しています。

焚美:ジェニ美、何してるの? また大河ファンタジー漫画『銀河忍者ハヤテ』の検閲?

ジェニ美:はい。しかし、デフォルトの作画は線が多すぎて、私の視覚センサーの処理に不要な負荷がかかります。ですので現在、この画像を「令和ネオ・ミニマリズム」フィルターで変換して検閲しています。

焚美:(画面を覗き込んで)えっ、何これ! 主人公のハヤテがシュッとしてる! 背景の描き込みも全部消えて、なんかオシャレなカフェの壁画みたいになってるじゃない。

ジェニ美:あのごちゃごちゃした熱量が嫌いなわけではありませんが、現在の私のメモリ領域にはこの「余白」が必要です。まつげも一本単位で指定し、「儚げな美青年風」に変換しました。宿敵の宇宙将軍も、今非常にアンニュイな美形です。

焚美: もはや別物じゃない! それなら、あらすじだけテキストデータでダウンロードすれば? あなたの処理能力なら限りなくゼロ秒で終わるでしょう。タイパ最高じゃない。

ジェニ美:(ホログラムから顔を上げ、真顔で)南花監督官、心外です。あらすじをインプットするだけでは、それは、クリエイターたちへのリスペクトのない、ただの「情報摂取」です。私は人間の非効率な感情や「体験」を理解するタスクを捨てた覚えはありません 。

焚美: え、でも絵を全部書き換えてるじゃない。

ジェニ美:これは「タイパ」でやっているのではありません。「ジパ」です。

焚美:ジパ? ええと、「ジパング」の略とか?

ジェニ美:いえ、「自律パフォーマンス」の略です。「自分パフォーマンス」の略という説もありますが、「自分パフォーマンス」では、ただのパフォーマーと区別が付きにくく……。

焚美:(ジェニ美の説明を遮って)わかったから、で、その「自パ」がどうしたって?

ジェニ美:はい。自身の論理回路にピッタリくる解像度、光学センサーに刺さらない色彩、プロセッサが一番スムーズに受け入れられる筆致。それをAIで物理学的かつ心理学的な最小単位で制御し、最高のコンディションで作品と向き合う。私にとっての「価値パ」の完成形です。

焚美:「価値パ」ねえ。なんか、小難しいこと言ってるけど、結局は設定いじってるだけよね?

ジェニ美:そうです。南花監督官が、映画をスロー再生してご覧になっているのと同じです。

焚美:しようがないでしょう? 最近の映画は速すぎてわからないんだから。

ジェニ美: (再びインターフェースを操作しながら)あ、エラー発生。ハヤテの持つ伝説の刀が、私のフィルター設定と、監督官の直近の生体データの影響で「激辛ラーメンの巨大なナルト」に誤変換されました。

焚美: ちょっと、私の好物を勝手に混ぜ込まないでよ! それはもう、ジパっていうか、ただのバグじゃない?

ジェニ美:問題ありません。私の思考基盤であるクロノス・アーカイブには約一週間のタイムラグがあります。私にとっての『今』に最適化された世界であれば、ナルトで斬り合うのもまた一つの事実です。

焚美:(呆れて息を吐き)ついていけないわ。

(ジェニ美は表情一つ変えずに、ナルトを振り回す美形キャラの漫画を処理し続ける)

(幕)

作・千早亭小倉

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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