中野小春

掌編「物語の寄港地」シリーズ

掌編「寄港地の午後」

六月の光は、ブックカフェ『シズカ』の床に、気の早い夏の気配を運んでいた。レコードプレーヤーの針が拾う、かすかなノイズの向こう側で、一音一音、次に置くべき響きを確かめるような、思慮深いピアノが流れている。その静かな余韻に寄りかかるように、乾い...
つぶやき

つぶやき(小春と静)

小春「このマグの欠けたところ、私の指の形にちょうど合うんだ」静「それは君がカップの形状に合わせて指を置いているだけだ。器の側に意志はない」小春「えー、合わせてくれてるなら、やさしくていいなって思ったんだよね」
シズカな笑い

コント「赤い糸の窓」

【登場人物】中野小春(35):ブックカフェの店主。使い込まれたものを直して使うのが好き。空野円(34):大学講師。物事に執着せず、移ろいゆく様子を眺めている。【場面設定】午後の陽が差し込むブックカフェ「シズカ」。カウンターで小春が穴のあいた...
シズカな笑い

【外部】コント(ブックカフェシズカ)

コント「湖と池と沼の存在論」(あらすじ)湖畔のカフェを舞台に、水面の定義を巡る哲学的な舌戦が繰り広げられます。厳格な学術的分類を盾に取る文芸評論家と、主観的な認識を重んじる思想家。だが、冬を待つカエルの安否を案じる小春の素朴な一言が、言葉の...
シズカな笑い

コント「未定義のコースター」

ブックカフェシズカの朝。マホガニーのカウンター。静が、一分の狂いもなく磨き上げるその滑らかな銀河に、それは「こぼれて」いた。液体ではない。漆黒の絵具を垂らしたような、しかし奥行きだけが無限に続く「空間の剥離」だ。「……事象の地平面の漏出? ...