コント「清き一滴」円城寺奏

万歳三唱の咆哮とともに、議場は「物理的」に崩壊した。首相の解散宣言は強力な分解酵素となり、議員たちはスーツもろとも極彩色の液体へと姿を変えたのだ。これぞ真の解散総選挙である。

液体化した候補者たちは、排水溝を伝い、全国の家庭の蛇口へと忍び込む。「清き一滴を!」と叫びながらコップに注がれる彼らを、有権者は容赦なく飲み干す。

胃の中で審判が下される。公約が嘘なら激しい胃もたれを起こし、誠実であれば五臓六腑に染み渡る。有権者の体内で「濾過」され、汗や涙として排出された成分だけが、再び議場へと集まり、人間の形を再構成できるのだ。

数週間後。再集結した議員たちは皆、驚くほど透き通るような肌をしていた。

「次は、もう少しコクのある政策を練りましょう」

そう語る首相の足元は、まだ少しだけ、水のようによろめいていた。

(了)

作・円城寺奏

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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