移動図書館

ものがたり

移動図書館日記(108)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。防潮堤の前で不器用で重たい言葉を落としてしまった後、千夏さんとの間に張り詰めた空気が漂っていた。半分は考えすぎだろう。私の悪い癖だ。でも、それなら残り半分はやはり事実だ。自分の言葉の強さを後悔しながら...
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移動図書館日記(107)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。千夏さんと車を走らせ、峠を抜けて沿岸部へと出た。かつては車窓からきらきらと光る波頭が見えた道も、今は巨大なコンクリートの壁に阻まれている。車を停め、目の前にそびえる灰色の防潮堤を見上げたとき、千夏さん...
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移動図書館日記(106)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。あえて旧道の峠道を選んだ。バイパスの単調な景色を嫌って。助手席には菜箸千夏さん。彼女の「優等生」な横顔をからかってしまったことを反省する。少しの気まずさが、エンジンの振動と共に私の指先に伝わってくる。...
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移動図書館日記(105)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。遠野の街なかを貫く国道を、東へ向かって走っている。助手席には菜箸千夏さんが乗っている。普段はひとりでハンドルを握ることがほとんどなので、隣に誰かが座っている状況は、ひどく新鮮で不思議な感覚だった。昨晩...
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移動図書館日記(104)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。仙台での用事を済ませ、新花巻から釜石線に揺られてやってくる菜箸千夏さんを、遠野駅まで車で迎えに出た。私が住む鱒沢の駅で降りてもらってもよかったし、なんなら仙台か新花巻まで迎えに行こうかとも提案したのだ...