箱庭小説

ものがたり

ショートショート「焚火と落ち葉のあっちっち」

政府倫理局の個室。南花焚美さざんかたきびは、眼前のどんぶりから立ち昇る真っ赤な蒸気に目を細めていた。――地獄・極《GOKU-GOKU》。部下のジェニ美がどこからか見つけてきたという激辛ラーメンのスープを一口啜る。熱というより、物理的な衝撃が...
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夏風邪のダバダ

午前四時。常盤荘の外階段の最上段で、朝霧沙緒はコンクリートに直に座っていた。素肌の上に羽織った綿のシャツの隙間から、冷たい風が入り込む。ライターのフリントを擦り、煙草に火をつける。息を吸い込み、吐き出すと、外灯の光の中で煙が白く広がった。沙...
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掌編「呼吸」

休日の夜、ブックカフェ「シズカ」の二階にある居住スペースは、静謐な空気に包まれていた。一階の店舗の明かりはすでに落ち、外の喧騒もここまで届くことはない。壁掛けのテレビからは、くぐもった爆発音が響いていた。画面の中では、無精髭を生やした男が、...
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掌編「槍と盾、湖畔にて」

湖を渡る風が、岸辺の葦を乾いた音で揺らしている。その微かな摩擦音に重なるように、二つの足音がブックカフェ『シズカ』へと続く小径を刻んでいた。一つは、弾むような、それでいてどこか危うい性急なリズム。もう一つは、その数歩後ろを歩く、湿った土を静...
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掌編「Khöömii for me, follow me」

ここあん村の編集プロダクション「ぽんちょ」で働く、清楚で穏やかな女性社員・中野小春。しかしアルバイトの恋流波陽(はる)の前でだけ、彼女は突飛な哲学を語り、無邪気にじゃれ合う予測不能な素顔を見せる。