音巴里荘

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「阿斗理恵、満艦飾」

夏の光が、音巴里荘の森閑とした庭に、数えきれない木漏れ日を降らせていた。空間そのものから沸き立ってくる蝉時雨が、熱を帯びて陽炎のように揺らめく空気を震わせている。その中心に、阿斗理恵はいた。年季の入った巨大な木製のたらいを慣れた様子で軽々と...
箱庭コント

箱庭コント188「楽園」

[シットコム・コント台本]芸術家アパート「音巴里荘(おんぱりそう)」を舞台に、大家の阿斗理恵や修繕屋の姉妹、翻訳家の菜箸かなが織りなす会話劇。独特なアパート名の聞き間違いから「ラテンの楽園」へと繋がる、言葉の壁を越えたコミカルで賑やかな日常。
箱庭コント

箱庭コント190「初恋やかん年賀状」

[シットコム・コント台本]箱庭ここあん村のコント。絶対静止を貫く理系院生・平泉慧と、生活力ゼロの書道家・硯毛八の年末劇。年賀状を非効率と切り捨てる慧だが、無表情な「初恋」告白で毛八を動揺させる。理屈とポンコツが交差する、不器用な日常コメディ。
箱庭小説(掌編・スケッチ)

連続ジェミ庵小説(2)

第4話「芸術の地図と機能的な余白」【登場人物】黒崎 文:ここあん高校文芸部部長。創作に情熱を求める文学至上主義者。千田 千冬:ネイルサロン店主。効率と論理を重視する合理主義者。【スポット】音巴里荘の音楽練習室。古いグランドピアノと、彫刻家の...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「三グラムの投函」

――三グラム。定形郵便の規定である二十五グラムを大きく下回るその重さを、五年間配達鞄を提げてきた男の指先は正確に計量していた。小名地区の路地裏に建つ音巴里荘は、無計画な増改築を繰り返した結果、一階に集合ポストを置くスペースすら失っている。配...