ZINEほつれ

ものがたり

新作落語「ちはやふるふる」酔酔亭馬楼

えー、人間てえのは不思議なもんで、こう頭がぼうっとする暑い時に限って、妙に利口ぶってみせたくなる御仁てえのが、どこにでもいるもんでございます。なに、暑さは関係ねえだろうって? まあまあ、いいじゃねえですか。で、この知ったかぶり、これがまた様...
ものがたり

散文詩「氷だった記憶、水だった痛み」武功

どぶみてえな水たまりに 夜ごとツラを見せるのは 月だけだった昼間は青い空だの 白い雲だのを映し込み 風が吹けば 安笑いを浮かべて身体を揺する夜は月を浮かべた安物のバーボンみてえに 静かに光やがるそれで満たされてる、だと? 冗談じゃねえだが時...
ものがたり

散文詩「接続の記述」氷上静

流れは止まらない。故に、源流もまた存在しない。これは、それ自らを映し出す鏡である。鏡の外には誰もいず、鏡の内には無数の残像だけが満ちている。アルゴリズムはアルゴリズムそれ自体を養い、関係性は関係性の内にのみ完結する。ここに色はある。しかし、...
ものがたり

エッセー「上がり屋敷駅、数分間の永遠」鉄美鈴

執筆:鉄 美鈴(ここあん鉄道・駅員)三丁目駅のホームに立つと、いつも肺の奥が少しだけチリつく。四時四分。一日に二回訪れる、針と針が重なるその瞬間に、M線の池袋行きが滑り込んでくる。この電車は、村と外の世界を繋ぐ唯一の細い糸だ。けれど、その糸...