箱庭小説

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移動図書館日記(23)

スミさんの涙 移動図書館司書・菜箸千夏の日記。子どもたちの喧騒の横で、静かに涙を流す利用者さん。言葉にできない悲しみに寄り添う、物語という名の「目に見えない処方箋」。[移動図書館/グリーフケア/本]
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移動図書館日記(22)

割烹着の白 移動図書館司書・菜箸千夏の日記。ボランティアさんが着てきた真っ白な割烹着。私が「傷のない本」を選びたくなる心理と同じ、混沌とした世界に対する静かで清潔な抵抗。[移動図書館/日常/美学]
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移動図書館日記(21)

カラオケ大会 移動図書館司書・菜箸千夏の日記。真木先輩の代打で訪れた団地で、まさかのカラオケ参加。完璧な司書であろうとして閉じ込めていた感情が、手拍子の中で解き放たれる。[移動図書館/地域交流/歌]
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大人のための寓話「ささやく果実」

世界の錆びついた蝶番のような丘の上に、その樹は一本、立っていた。誰が植えたのか、いつからそこに在るのか、誰も知らない。ただ、その枝には年に一度だけ、磨き上げられた琥珀の中に小さな太陽が閉じ込められているかのような果実が、たったひとつだけ実っ...
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掌編「常磐荘綺談」

ジッポーのキシンッという金属音が響いた。湿った苔と冷え始めた土の匂いを、オイルがたちまち上書きする。安煙草の紫煙が囁くように耳元を通り過ぎても、鴨下栞は振り返らなかった。この石階段は栞の観測所だが、同時に、後ろにいるたたこの指定喫煙所でもあ...