ものがたり一覧

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ZINE創刊への道01 徒然士への協力要請

(ハンカチで額の汗を拭いながら、少し息を荒げて)……やあ、これは、これは。ご指名に預かり、光栄の至りですよ。日本文学科で講師を務めつつ、劇団「かもかも」の座付き作家などもしております、徒然士ただぜんじと申します。ここあん村で「ZINE」を創...
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お題013. 背中の祝儀

六畳一間のアパート「コーポ松」の壁には、得体の知れない地図のような雨漏りのシミが広がっていた。それはオーストラリア大陸の形に似ていたが、タスマニア島にあたる部分にはカビが生えている。部屋の空気が、湿った煎餅のような匂いを帯びていた。 酔酔亭...
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お題012. 干物箱

二つ目の落語家と、腕は確かな代弾きピアニストが繰り広げるドタバタコメディ。伝統芸能とクラシック音楽が交差する掌編小説です。落語のネタやピアノの豆知識も満載。
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掌編「椎名町助とおはぎまる」

第1編:居酒屋『海(うみ)』の濁り酒椎名町3丁目の夜は、古びた毛布のように重たくて温かい。居酒屋「海」の暖簾をくぐると、揚げ物の匂いと安酒の蒸気が、町助まちすけの青い帽子を優しく包んだ。彼はカウンターの隅に座り、お通しのポテトサラダを箸の先...
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スケッチ「3丁目駅、鉄美鈴の夜」

二十三時十一分。赤色灯が二つ、暗がりの奥へと吸い込まれていった。M鉄道からここあん鉄道へ乗り入れる、3丁目駅経由タウン駅行き最終列車。ここあん鉄道職員の鉄美鈴はホームの端で、背筋を真っすぐに伸ばして立っていた。右手の指をピンと伸ばし、誰もい...