鴨下栞

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「検索窓の幽霊たち ――15歳のための存在論」|「物語の寄港地」シリーズ

ここあん村・寄港地シリーズ。ブックカフェ「シズカ」で、15歳の小説家・鴨下栞がネット検索と人間の存在について問いかける。哲学者の氷上静はバークリーの思想を引き、あえて検索せず輪郭を曖昧にしておく贅沢さと防衛術を説く。知的好奇心に満ちた二人の鮮烈な現代対話劇。
箱庭コント

箱庭コント50「ダバダでダダダ」

【登場人物】朝霧 沙緒:常盤荘に住む天才作家。世界のすべてを退屈だと言い切る倦怠のミューズ。鴨下 栞:大家の娘。人形のように整った顔立ちで、すべてを見透かす冷たい瞳を持つ。【場面設定】夕暮れ時、常盤荘の共同炊事場。沙緒が古いガスコンロで湯を...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「夏風邪のダバダ」

午前四時。常盤荘の外階段の最上段で、朝霧沙緒はコンクリートに直に座っていた。素肌の上に羽織った綿のシャツの隙間から、冷たい風が入り込む。ライターのフリントを擦り、煙草に火をつける。息を吸い込み、吐き出すと、外灯の光の中で煙が白く広がった。沙...
箱庭コント

箱庭コント87−89「赤い糸の窓」

【登場人物】中野小春(35):ブックカフェの店主。使い込まれたものを直して使うのが好き。空野円(34):大学講師。物事に執着せず、移ろいゆく様子を眺めている。【場面設定】午後の陽が差し込むここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」。カウンターで小...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「ボストークの沈黙」

栞は、武功が立ち寄るBAR「ボストーク」を訪れ、店主の宗方奈落に原稿の束を預ける。奈落は栞をヒヨッコだと拒絶するが、「置いていけ」とだけ告げる。数日後、栞は奈落から武功の赤字がびっしりと書き込まれた原稿を返される。