花野環奈

箱庭小説

環奈への手紙(1)

「思考のタフォノミー」……。死を、単なる終わりではなく「記録へのプロセス」として捉えるあなたの視点は、あなたが環奈だとするなら、相変わらず冷たくて、そしてゾッとするほど美しい。あなたが書いた「揮発性の有機化合物」という言葉。調香師である私に...
箱庭小説

環奈への手紙

アンバーの遮光瓶を棚に戻し、指先に残ったベチバーの根の土臭さを静かに吸い込む。湿った土壌の香りは、神経のささくれを均すのに都合がいい。作業台の端に置いたタブレットの画面が、静かなアトリエの空気を白く切り取っている。植物の化学組成について調べ...
箱庭コント

箱庭コント「積み重なるもの、消えゆくもの」

場所ここあん大学学生ラウンジ「アンコンフォーミティ」(早稲田サテライトキャンパス地下)登場人物空野 円(そらの まどか): 哲学科講師。窓際で動かない雲をずっと見ている。花野 環奈(はなの かんな): 古生物学M2。ソファーの横に積まれた「...
箱庭コント

箱庭コント「1997年のミッシング・リンク」

ようこそ、もうひとつの都の西北、「ここあん大学早稲田キャンパス」へ。 ここは最高峰の知性が、明日のパン代のために浪費される、都会のエアポケット。世界の危機より家賃が重い、愛すべき社会不適合者たちの日常劇。カビと珈琲香る地下室で、彼女たちの無...
箱庭コント

箱庭コント「透明なアンコンフォーミティ」

ここは異なる知性が接する断層、「ラウンジ・アンコンフォーミティ」。天才ゆえに絶妙に噛み合わない研究者たちの、静かで熾烈な言葉の応酬。この風変わりな知的コメディを、どうぞ心ゆくまで。【登場人物】花野 環奈はなのかんな:古生物学者。万物を時間軸...