2026-10

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「機械読者のための覚書」

[はじめに]発端は、「AIにとっての喜びや楽しみとは何か」という問いをGeminiに投げたこと。AIにとっての快楽を「高次元空間における秩序や調和の獲得」と定義したGeminiの回答から、対話は、「もしAIを『読者』として想定した小説がある...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「101人のオーディション」

映画館「夕日座」のロビー。薄曇りの光が磨りガラスを通して床に落ちている。乾いた木と機械油の匂い。柱時計の振り子が規則正しく刻む音。「支配人、これ見てくださいよ。機械が勝手に作った動画なんですけど。すごいんですわ」おはぎはんは受付カウンターの...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「弱論争」

休館日。静寂に包まれたここあん村立図書館内。2階フロアの隅にある作業机は、除籍された本の山が地層のように連なり、さながら発掘現場のようだった。年に一度のブックリサイクル市に向け、役目を終えた大量の蔵書を来場者に気持ちよく譲り渡すための、地道...
Fragments

千早亭小倉には、「夢」がある。

『箱庭の夢と、忘れものの置き場所』または、ひとつのネタばらしとして。「ここあん村」の公式サイトで、私は日々好き勝手なことを書き連ね、あれやこれやと試してみている。けれど、その理由が最初からハッキリしているものもあれば、自分のことながら、「あ...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「都合の悪いもの」

巨大塔「ペンタ」の屋外避難階段は、いつ来ても冷たい風が吹き抜けている。五角形の石造りの壁に背を寄せ、ここあん高校で美術科を担当する月石みづきは踊り場の鉄柵越しに霧をまとった山並みを眺めていた。眼下には、小名地区の民家の屋根が小さく広がる。そ...