ブックカフェ「シズカ」や微笑書店のカフェスペースの使用ルールは?|ここあん村バックストーリー

1. ブックカフェ「シズカ」(ここあん湖畔のブックカフェ)のルール
  • 「シズカ」は新刊を販売する書店ではなく、書棚に並ぶ本の多くは、オーナーの氷上静が選んだ哲学・文学書です。中野小春が淹れる珈琲とともに、それらの本を読むことができます。
  • 微笑書店のような「売り場から未精算の本を持ち込む」という概念(?)自体がありません。
  • 静自身は「蔵書を汚されたくはない」という高い防衛意識を持っていますが、本とお茶の時間を同時に楽しむ場所としての流儀を大切に守っています。
2. 微笑書店(きさらぎタウンの新刊書店)のルール
  • 未精算の新刊本(売り場の新しい本)をカフェスペースに持ち込むことは「禁止」されています。
  • カフェスペースの席の横にある本棚に並んでいるのは、店長(えみ緒)が「自由にお茶を飲みながら読んでいいよ」と用意した「カフェ専用の古本」です。
  • 売り場にある新しい本をカフェスペースで読みたい場合は、「必ずレジで代金を支払って、自分の所有物にしてから」持ち込むのが、微笑書店のルールです。
関連コント「完璧な紙と、お店のルール」

【登場人物】
菜箸 千夏
:ここあん村立図書館の主任司書。眼鏡の奥に「あのこと」の無秩序への恐怖を秘め、本の扱いには完璧な秩序を求める。
微笑 えみ心:微笑書店のカフェ担当。緑色のボブヘア。天真爛漫で、お茶と笑顔を愛する。
氷上 静:ブックカフェ「シズカ」オーナー。かつては冷徹な氷山だったが、今は他者の不器用な惑いを見守る柔らかさを持つ。

【場面設定】
微笑書店のカフェスペース。テーブル席に千夏が座り、真新しい小説を前に置いて、ハンカチでテーブルを慎重に拭いている。

菜箸千夏:(眼鏡の位置を直し、厳粛な面持ちで)よし。これでテーブルの上の微細な湿気と埃は除去完了です。

微笑えみ心:(トレイにカップを載せて明るく歩み寄る)千夏ちゃん、どうぞ。いつもの、特製はちみつレモンティー。

千夏:いつもの?(片手をビシッと突き出して制止する)待ってください、えみ心さん。その位置でストップです。

えみ心:(トレイを持ったまま、きょとんとして)えっ、こぼしそうに見える? 大丈夫だよ、これでも足腰は鍛えてるから。

千夏:そうではありません。問題はそのカップの底です。温かい蒸気と結露が、この新品の本に万が一にも飛散したらどうするのですか。本を扱う空間に水分を持ち込むなど、司書としては言語道断です。

氷上静:(本を一冊手に持ち、隣の席から静かに声をかける)相変わらず厳格ね、千夏さん。でも、ここはカフェよ。お茶が出るのは自然なことだわ。

千夏:氷上先生。先生なら私の気持ちがお分かりでしょう。本とは、乾燥した清潔な環境でこそ長く生きるものです。

えみ心:千夏ちゃん、あのね。

(えみ心をスルーし、千夏と静の会話が続く)

:保存の観点ならあなたの言う通りよ。私の店「シズカ」でも、蔵書を汚されたくはないもの。けれど、本とお茶の時間を同時に楽しめると言っても、ブックカフェごとに流儀は違うのよ?

千夏:理念は理解できます。ですが、この本はまだ誰も買っていない売り物の本なのですよ。商品である以上、傷ひとつ、水滴ひとつ付けるわけにはいきません。

えみ心:千夏ちゃん、ごめん。うちの店、初めてだったわね。図書館で何度も会ってるから、初めての気がしなかったわ。ねえ、その本、売り場から持ってきたのよね?

千夏:はい。会計前に店内で試し読みができるのが、ブックカフェの背徳的な醍醐味。

えみ心:背徳的……。あ、千夏ちゃん、ちょっと違うのよ。

千夏:(首を傾げ、怪訝そうに)違う、とは?

えみ心:うちのお店はね、売り場の本をカフェに持ち込むのは禁止なの。今千夏ちゃんが座ってる席の横にある棚、あれ全部、店長が「自由にお茶飲みながら読んでいいよ」って置いた、カフェ専用の古本なんだよ。きれいにしてるから新刊本と区別がつきにくいけど、裏表紙に、お姉ちゃんの似顔絵シールが貼ってあるの。

:(近くの書棚から本を取り出し、裏返す)確かに。似顔絵がえみ緒さんに似ているかどうかはともかく。

千夏:(ハンカチを持ったまま、指先まで完全に硬直する)え?

えみ心:売り場の新しい本は、ちゃんとレジでお金を払ってからじゃないと、ここには持ってきちゃダメなルールなんだ。

:(手元の本を閉じ、千夏を見る)つまり千夏さん。あなたは売り物の「紙」を過剰に防衛するあまり、お店の利用規約という最も基本的な秩序を破っていたわけね。

千夏:(顔を真っ赤にして、持っていたハンカチをギュッと握りしめる)わ、私が、ルール違反を?

えみ心:大丈夫、悪気がないのは分かってるから。その本……。

千夏:(すっくと立ち上がり、本を両手で恭しく抱え上げる)あ、今日も、もともとこの本、買いに来たんです。すぐに、お金払ってきます。

:まあ、落ち着きなさい。せっかくいれてもらったお茶が冷めてしまうわ。一息いれてからにしたら? お支払いも、本を読むのも。

千夏:(力なく座り直し、おずおずとレモンティーを見つめる)現時点、ルール破りの女ですが、私、大丈夫でしょうか、えみ心さん?

えみ心:(にこにこしながらカップをテーブルの端に置く)はい、どうぞ。いつでも声かけてね。

千夏:(レモンティーを一口飲む)はい、美味しいです。ほんとです。(もう一口飲む。眼鏡を指先でそっと押し上げる)はい、大丈夫です。行きます。

えみ心:ふふっ、戻ってくるんでしょう?

千夏:はい。自分のものにして、この特製はちみつレモンティーも続きをいただきながら、ぜいたくな時間を過ごさせていただきます。

(千夏が静のほうを見る)

:(苦笑まじり)宣言しなくていいから。

(幕)


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[コント台本・掌編 約600本]

主な舞台は、椎名町三丁目から広がる箱庭「ここあん村」。箱庭コント作家・千早亭小倉の手による、どこか懐かしい日常劇やクスッと笑えるコメディ、沁みる掌編を絶賛公開中です。これからも「読むシットコム」の世界を追究していきます。
*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。 *The articles on this site were written by a human, peppered with AI. *無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|箱庭コントを紡ぐ 話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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