箱庭小説

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箱庭小説「割れない鏡」

アスファルトが八月の陽光を照り返している。東風公園応急仮設住宅の集会所。首を振る扇風機の音と、数人の子供の声。それ以外は沈黙だった。氷上静はパイプ椅子に浅く腰掛け、その沈黙の中にいた。ここあん村を襲った「あのこと」から数年。母の冬子に連れら...
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箱庭小説「深夜の猿哲学」

深夜の編集プロダクション「ぽんちょ」。コピー機の微かな駆動音だけが響くオフィスで、学生アルバイトの恋流波陽こひるははるは、一人でゲラの山と格闘していた。「……終わらない」小さくため息をつき、首を回した時だった。「お疲れ様、はるくん」給湯室の...
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移動図書館日記(107)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。千夏さんと車を走らせ、峠を抜けて沿岸部へと出た。かつては車窓からきらきらと光る波頭が見えた道も、今は巨大なコンクリートの壁に阻まれている。車を停め、目の前にそびえる灰色の防潮堤を見上げたとき、千夏さん...
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14. 手順書という生痕化石

日常に潜む「地層」と「化石」を見つける思考の実験。ある古生物学徒の視点で綴られた、世界を新たな解像度で切り取るための思索的な日記。「見ること」の本当の意味を問い直す、記録の断片をお楽しみください。構成・千早亭小倉
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箱庭ラノベ|第16話 幸福の設計図|ここあん高校文芸部

「……まあ、悪くない」黒崎部長のその一言が、部室の重い空気を払い、霧が晴れるように安堵が広がった。「やった……! やったね、神崎くん!」隣で、天野さんが満面の笑みで僕の腕を軽く叩いた。その屈託のない喜びように、僕もようやく自分が息を詰めてい...