箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「おはぎはんの錯覚」

表通りから一本外れたパチンコ屋の裏口。派手な刺繍の入ったスカジャンを着た男が、何か黒い物体を拾い上げると、無造作に植え込みの奥へ放り投げた。缶コーヒーの空き缶に違いない。男は、吸っていた煙草の火を、唾で濡らした指で揉み消し、その吸い殻も同じ...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「六月の雨」|「物語の寄港地」シリーズ

ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」を舞台にする「物語の寄港地」シリーズの一編。六月の雨は音もなく、世界の輪郭を静かに滲ませていた。ブックカフェ「シズカ」の大きな窓ガラスを、名前もない筋となった雨水が無言で流れ落ちていく。店内に満ちるのは、...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説|番外編001. 遠心力と赤い抜け殻|二つ目の落語家と代弾きピアニストの恋

伸び悩む落語家・酔酔亭馬楼と、代弾きピアニスト・糠森ひな。中編『二つ目の落語家と代弾きピアニストの恋』で二人が別々の道を歩み出す前の、不器用で愛おしい日常を切り取ったショートスケッチ集。自販機のコンプレッサーが時折、不機嫌そうな唸りを上げる...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「湖畔の庵」|「物語の寄港地」シリーズ

ここあん村・寄港地シリーズ。六月の長雨に煙る湖畔に、ひっそりと佇む二階建てのブックカフェ。周囲の森や苔に溶け込む切妻屋根の庵と、赤いフランス車。二階の窓に灯る温かな光の向こうで、誰かの影が静かに行き交う。雨音と自然に包まれた寄港地の情景を美しく切り取った小品。
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「寄港地のピアニスト」|「物語の寄港地」シリーズ

ここあん村・寄港地シリーズ。ブックカフェ「シズカ」に、ピアニストとして歩む糠森ひなが訪れる。かつて雨の中で出会った氷上静から贈られた「素晴らしい演奏だった」という静かな賛辞。調和に満ちた静と小春の日常の中で、過去の危うい記憶が穏やかに昇華されていく心温まる物語。