古生物学小日記

箱庭小説

20. K-Pg境界線と九月の終わり|化野環古生物学小日記

夕暮れの静かな研究室で、壁に掛かった一枚きりの暦に目をやる。今日が九月の最終日であることに気づき、その紙片を、ミシン目に沿って丁寧に引き剥がした。パリ、という乾いた音が、世界の区切りを告げる。暦というのは、時間を平らに均すための、極めて人間...
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19. 焦点深度という誠実さ|化野環古生物学小日記

週末の拡散した思考を収束させるように、月曜の午前は顕微鏡の前に座る。カンブリア紀の頁岩から切り出した薄片をステージに載せ、接眼レンズを覗き込む。最初は、光の滲んだ、意味をなさない世界が広がっている。粗動ハンドルを回すと、像がぼんやりと結び始...
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18. 人新世の不整合面|化野環古生物学小日記

日曜の午後は、思考が普段より遠くまで拡散していく。アパートの窓から、少し離れた場所にある大規模な建設現場を眺めていた。古いビルが解体された跡地に、巨大なクレーンが林立している。多くの人々にとって、これは「再開発」という名の、経済活動の風景だ...
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17. 静的な完成、動的な再編|古生物学小日記

週末の午後は、部屋に散乱する論文や資料を整理するのに費やされる。机の上の、ペーパーウェイト代わりにしている三葉虫のレプリカを手に取った。オルドビス紀の地層で完成された、完璧な機能美を持つ節足動物。その滑らかなカーブを指でなぞっていると、タブ...
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16. 掲示板の不整合面

日常に潜む「地層」と「化石」を見つける思考の実験。ある古生物学徒の視点で綴られた、世界を新たな解像度で切り取るための思索的な日記。「見ること」の本当の意味を問い直す、記録の断片をお楽しみください。構成・千早亭小倉