古生物学小日記

ZINE・住民のつぶやき

29. 自己組織化する骨格|化野環古生物学小日記

電車の窓ガラスを流れる雨粒が、別の水滴とぶつかって一つの太い筋を作り、滑り落ちていく。外力ではなく、水自身の性質によって形がまとまっていくその様子をぼんやりと追っているうちに、頭の片隅にあった記憶が蘇る。ノーベル化学賞のニュース、「金属有機...
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28. 絶滅した自動販売機|化野環古生物学小日記

古い講義棟の、あまり使われていない連絡通路を通り抜けた時、隅に埃をかぶって佇む一台の自動販売機が目に入った。電源は抜かれ、色褪せた「調整中」の貼り紙が、その機能が永久に停止していることを物語っている。これは単なる「故障」ではない。一つの「種...
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27. ブレーキという名の精巧さ|化野環古生物学小日記

昼食のために立ち寄った食堂のテレビが、ノーベル賞の話題を報じていた。免疫の過剰な働きを抑える「制御性T細胞」の発見。長年の研究がようやく評価された形だが、アナウンサーは、免疫を「体を守る軍隊」と表現し、その暴走を止めるブレーキ役が見つかった...
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26. 呼気の化石化条件|化野環古生物学小日記

夕刻、暖房の効いた図書館から外に出ると、肌寒い空気が身を包んだ。昨日までの晴れ間が嘘のように、空は厚い雲に覆われている。無意識に息を吐き出すと、今シーズン初めて、それが白い雲になるのを見た。人々はこれを冬の訪れといった、季節的な記号として認...
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25. 極めて遅い風化|化野環古生物学小日記

夜明け間近。昨日の雨が洗い流した空気は、澄み切っている。開け放した窓の薄明かりを感じながら、頭にふと浮かんだ言葉を反芻する。「窓ガラスは、地質学的な変化が全く起こらない、最も単純な地表のモデルなのですね」私は改めて窓ガラスに目を向けた。昨日...