古生物学小日記

ZINE・住民のつぶやき

31. 記録される確率|化野環古生物学小日記

雨が降り続いている。研究室の窓外に置かれた植木鉢の、まだ何も植えられていない区画。露出した黒い土の表面に、無数の小さなクレーターが、生成と消滅を繰り返している。これは、雨滴痕(Raindrop imprints)と呼ばれる生痕化石が形成され...
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30. 人間中心主義という座標系|化野環古生物学小日記

「台風って、十月になってもこんなに日本に来ていたかな」という一文で始まる、メッセージを受け取った。送信者は、自身の記憶の不確かさと、日本という島国を中心にして気象現象を捉える思考の偏りを、自ら省察している。「~かな」という疑問は、個人の持つ...
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29. 自己組織化する骨格|化野環古生物学小日記

電車の窓ガラスを流れる雨粒が、別の水滴とぶつかって一つの太い筋を作り、滑り落ちていく。外力ではなく、水自身の性質によって形がまとまっていくその様子をぼんやりと追っているうちに、頭の片隅にあった記憶が蘇る。ノーベル化学賞のニュース、「金属有機...
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28. 絶滅した自動販売機|化野環古生物学小日記

古い講義棟の、あまり使われていない連絡通路を通り抜けた時、隅に埃をかぶって佇む一台の自動販売機が目に入った。電源は抜かれ、色褪せた「調整中」の貼り紙が、その機能が永久に停止していることを物語っている。これは単なる「故障」ではない。一つの「種...
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27. ブレーキという名の精巧さ|化野環古生物学小日記

昼食のために立ち寄った食堂のテレビが、ノーベル賞の話題を報じていた。免疫の過剰な働きを抑える「制御性T細胞」の発見。長年の研究がようやく評価された形だが、アナウンサーは、免疫を「体を守る軍隊」と表現し、その暴走を止めるブレーキ役が見つかった...