古生物学小日記

ZINE・住民のつぶやき

24. 加速された侵食モデル|化野環古生物学小日記

窓ガラスを、ひっきりなしに雨粒が叩いている。外に出ることはできそうにない。こういう日は、定点観測に徹するに限る。私の部屋の窓からは、3種類の異なる地表が見える。ひとつは、この窓ガラスそのもの。ひとつは、目の前の車道のアスファルト。そしてもう...
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23. 書架のタフォノミー|化野環古生物学小日記

金曜の午後は、図書館の地下書庫で過ごすことが多い。古い論文を参照するため、バックナンバーが並ぶ巨大な書架の間を歩く。製本されたジャーナルの背表紙には、刊行年が刻印されている。1970, 1971, 1972……。一見すると、これは完璧に連続...
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22. 進捗バーと目的論の罠|化野環古生物学小日記

カンブリア紀の節足動物群に関する、大規模な系統解析のプログラムを実行する。形態データと遺伝子情報を統合した、計算負荷の高い処理だ。画面に、小さなウィンドウが現れ、プロセスの進捗を示すバーが表示された。0%から100%へ向かって、青い線がゆっ...
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21. 花壇の大量絶滅|化野環古生物学小日記

10月のある日。大学の正門をくぐると、職員の方々が花壇の植え替え作業をしていた。まだ鮮やかな花を咲かせているベゴニアやマリーゴールドが、根こそぎ引き抜かれ、台車に無造作に積まれていく。これは、極めて人工的な「大量絶滅イベント」だ。 この花壇...
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20. K-Pg境界線と九月の終わり|化野環古生物学小日記

夕暮れの静かな研究室で、壁に掛かった一枚きりの暦に目をやる。今日が九月の最終日であることに気づき、その紙片を、ミシン目に沿って丁寧に引き剥がした。パリ、という乾いた音が、世界の区切りを告げる。暦というのは、時間を平らに均すための、極めて人間...