高島雅也

ものがたり

移動図書館日記(86)

図書館の開放と新しい座標移動図書館司書・菜箸千夏の日記。三年ぶりの図書館建物開放。開架フロアの復活という奇跡と、本館を補完し能動的に無秩序な現実に寄り添うロマコメ号の新たな役割への力強い決意。[移動図書館/図書館再開/未来]
ものがたり

掌編「それぞれの鎧」

ここあん図書館二階、かつての一般図書フロアは、菜箸千夏にとって、完璧に調律された楽器のような場所だった。背表紙の高さ、色合い、日本十進分類法の聖なる数字。そのすべてがミリ単位で管理され、静謐な調和を奏でる。彼女は書架の端から端までを検分し、...
ものがたり

掌編「泥の塔」

エレベーターホールの床に、乾いてひび割れた泥の染みが、所在なく広がっていた。ここを遊び場にしている悪童たちの残したものか、あるいは大災害の後に隆起したこの塔そのものから染み出た泥なのか、緑野翠村長にもわからない。天井の照明はいくつか間引かれ...
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移動図書館日記(78)

霧の晴れた場所へ移動図書館司書・菜箸千夏の日記。長い霧が晴れ、家を直し始めた「霧のところ」への運行。家という居場所を綴じ直す人々の日常に、本という小さな目印をそっと置いていくひたむきな決意。[移動図書館/復興/日常]
ものがたり

移動図書館日記(75)

硬いパンを噛み締める移動図書館司書・菜箸千夏の日記。「愚直に」という高島課長の言葉を「硬いパン」に例える真木先輩。結果がすぐに出なくても、未来に向かって種を蒔き続ける移動図書館の忍耐と希望。[移動図書館/司書/希望]