移動図書館

箱庭小説

移動図書館日記(120)

[移動図書館のものがたり]箱庭ここあん村の移動図書館司書・菜箸千夏の日記。専属ドライバーUさんの最終運行日。車を愛するHさんと、走る道を愛するUさん。世代を超えた利用者たちが心地よい距離で集う広場で、一瞬で空気を元気にする彼の「声」が響く。去りゆく背中に静かなねぎらいを。
箱庭小説

移動図書館日記(119)

[移動図書館のものがたり]ここあん村移動図書館司書・菜箸千夏の日記。時代小説を千冊読んだおかあさん、居心地の良い木造仮設から引っ越すことになり、日々の便利さと居心地の良さの間で揺れる。仮設は平岩弓枝が描く『御宿かわせみ』のようなあたたかな「宿」だった。
箱庭小説

移動図書館日記(118)

[移動図書館のものがたり]遠野から戻った千夏は、デスクに飾った写真のナンバープレートから重たい言葉を連想し、中野文に電話をかける。しかし口から出たのは、現地で聞いた「逃げ出した馬」の安否だった。重たい言葉を介さず、他愛のない日常 of 報告でつながる二人の静かな時間を描く。
箱庭小説

移動図書館日記(117)

これは、日記という名を借りた私の記憶。ロマコメ号のオーニングの下、心地よい風が通り抜けていく。カウンターの前に立つ80代くらいのおかあさんが、何十年も仲間と続けてきたという小さな人形劇団の名前を教えてくれた。「ンギヤボンガ」「ン? え、『ん...
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移動図書館日記(116)

これは、日記という名を借りた私の記憶。某月某日。ロマコメ号のオーニングの下を、乾いた柔らかな風が通り抜けていく。カウンターの前に立った七十代くらいの女性が、少しだけ心許ない手つきで、三冊の本を差し出した。「たぶん、ここで借りたのよね。家族が...