糠森ひな(地層4)

箱庭小説

箱庭小説「海辺のフェルマータ」

過保護な母との口論は、苦手な柔軟剤の香りが楽譜に移るというひどくくだらない理由から始まった。苛立ちを鎮めるために実家を飛び出し、一人で酒を煽った。東北のオーケストラの打ち上げで鍛えられたという自負は、ここあん村の空気がもたらす気の緩みであっ...
箱庭コント

箱庭コント「商店会長はトニック派」(台本)

【登場人物】糠森 ひな:東北のオーケストラでソリストとして活躍するピアニスト。完璧主義ゆえに、耳と指を過剰防衛している。両手には薄手のシルク手袋。郷田 剛:克枯町商店街会長であり、スーパー「人生」のオーナー。声が大きく自己顕示欲が強い。渡良...
箱庭小説

箱庭小説「寄港地のピアニスト」

ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」を舞台にする「物語の寄港地」シリーズの一編。秋の陽光が、災害で生まれた湖のきらめきをブックカフェ『シズカ』の店内へ届け、床にくっきりとした光の四角形を描いていた。その光の領域を避けるように、客が一人、厚い...