氷上静(地層4)

箱庭小説

掌編「割れない鏡」

アスファルトが八月の陽光を照り返している。東風公園応急仮設住宅の集会所。首を振る扇風機の音と、数人の子供の声。それ以外は沈黙だった。氷上静はパイプ椅子に浅く腰掛け、その沈黙の中にいた。ここあん村を襲った「あのこと」から数年。母の冬子に連れら...
箱庭小説

連続ジェミ庵小説(12)

第34話 未分類の孤独と右から二番目の棚【登場人物】氷上 静:ブックカフェ「シズカ」オーナー。本の分類に理性の限界を感じている。恋流波 陽:静の元彼(?)。劇団「かもかも」の役者。自身の恋愛における立ち位置を見失った青年。【スポット】ブック...
箱庭コント

箱庭コント「挨拶の現象学的還元」

思想家の氷上静と元教え子の恋流波陽。駅のホームで再会した二人は、日常的な「おはよう」という挨拶を巡り、哲学的な思索の迷宮へ足を踏み入れる。ハイデガーやカミュを引き合いに出し、挨拶の本質を解体しようと試みる静。理屈っぽくも愛らしい師弟の掛け合いの果てに、彼女が掴み取った「問い」の正体とは。
箱庭小説

スケッチ「がたがたいうテーブル」

湖畔のブックカフェを舞台に、哲学者と翻訳家が「理想的な対話」の可能性を論じる。ハーバーマスの死をきっかけに揺らぐ理性と、不完全な世界で正気を保つための知的なやり取りを切り取ったショートストーリー。
箱庭小説

つぶやき(氷上静)

池袋から数分、幻の椎名町三丁目から広がる架空の村「ここあん村」の記録。千早亭小倉による掌編、コント、移動図書館の活動日記を掲載。