2026-05

箱庭小説

17. 静的な完成、動的な再編|古生物学小日記

週末の午後は、部屋に散乱する論文や資料を整理するのに費やされる。机の上の、ペーパーウェイト代わりにしている三葉虫のレプリカを手に取った。オルドビス紀の地層で完成された、完璧な機能美を持つ節足動物。その滑らかなカーブを指でなぞっていると、タブ...
箱庭小説

箱庭ラノベ|第23話 共犯者のための仕様書|ここあん高校文芸部

共同執筆、という名の地獄が幕を開けた翌日の放課後。文芸部室の長机。その長辺を挟んで、僕、神崎一樹と、天野光さんは、まるで互いが汚染区域であるかのように、正面から向き合って座っていた。彼女の表情の些細な変化さえもが視界に入ってしまう、逃げ場の...
箱庭小説

箱庭小説「透明な名前と黙字のp」

ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」を舞台にする「物語の寄港地」シリーズの一編。【登場人物】氷上 静:ブックカフェ「シズカ」オーナー。現代思想家。相手が15歳であっても決して子供扱いせず、対等な観測者として接する。鴨下 栞:ここあん高校の生...
箱庭コント

箱庭コント「おとうさんの目次」|昭和

【登場人物】はるひこ:10歳の長男。路線図の漢字をじっと観察している。まさよしに「おんぱりそ」と呼ばれている。まさよし:父親で弁護士。英語のペーパーバックを開いて不機嫌そうにしている。みちこ:母親で専業主婦。座席の背もたれに沈み込んでいる。...
箱庭小説

箱庭ラノベ|第22話 共犯者の設計図|ここあん高校文芸部

文芸部室の空気は、奇妙な均衡を保っていた。天野さんが生み出した、単語の羅列。それは物語とは呼べない、世界のかけらのリスト。だが、そのリストが机の中央に置かれたことで、僕が書いた分析的な文章も、黒崎部長が求める文学的な魂も、そして堂島が規定す...