古河佐助

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「グッド、伊武人具」

陽光がじっとりとした熱を帯び、アスファルトを燻す昼下がり。ここあん村克枯地区の商店街は、古いアーケードの天井で切り取られた空の青さとは裏腹に、どこか気の抜けた空気に満たされていた。カツカレー祭りの賑わいも過ぎ、日常という名の微温湯が、シャッ...
箱庭コント

箱庭コント261「千夏の理屈」

【登場人物】菜箸 千夏:図書館主任司書。几帳面で秩序を重んじるが、自分のミスを認めたくないあまり屁理屈をこねる。菜箸 かな:千夏の姉。フリーランスの翻訳家。冷静に妹の言動を突っ込む。古河佐助:古書肆。移動図書館の常連客でもある。「元忍者」と...
箱庭コント

箱庭コント112「リストロールに用かい?」

【登場人物】鈴木 美桜:ここあん村図書館司書。捨てられない蒐集家。芳野 結衣:ここあん村図書館アーカイブ専門員。情報の秩序と分類を重んじる。篠田 律:ここあん大学院生(分子系統学)。万物を情報の系統樹として捉える。古河 佐助:古書店店主。静...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「眉毛」

古河書店のガラス戸の向こうで、陽光がアスファルトを焼いている。もう何時間も、客の姿はない。店主の古河佐助は、カウンターの奥、自分の尻の形にへこんだ座布団の上で、膝の文庫本から顔を上げた。文字は視界を滑っていくだけで、意味を結ばない。店の中は...