菜箸かな

箱庭コント

箱庭コント23「あえて説明調」

平日の午後の、きさらぎ文化会館の図書室。そこは、差し込む光の筋のなかに埃がゆっくりと舞うのが見えるほど、完璧な静寂に満ちていた。美術書が並ぶ一角。少し高めの棚に収められた、一冊の分厚い本に、二人の女の手が同時に伸びた。――アール・デコの装幀...
箱庭コント

箱庭コント85「静電気とトラルファマドール」

[シットコム・コント台本]ブックカフェでヴォネガットの小説を読む高校生ケニーと、翻訳家の菜箸かな。周囲の押し付けがちな価値観を「アイス・ナイン」に例え、二人は作品のユーモアを交えながら静かに語り合う。知的な空気感とクスッと笑える掛け合いが魅力の日常劇。
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭コント309「『安心』の定義」

登場人物:菜箸千夏、菜箸かな菜箸千夏(28歳・図書館司書)は、分厚い国語辞典のページを指で挟んだまま、小さくつぶやいた。「……『安心』の語釈が、冷たすぎる」千夏の姉かな(34歳・翻訳家)は、手元の洋書から視線を上げずに答える。「辞書はカウン...