箱庭小説

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「どちらでもいい、朝」|はてな

「どちらでもいい、朝」ブックカフェ「シズカ」のオーナー中野小春は、徹夜明けで疲弊し、朝食の選択肢さえ選べない氷上静に珈琲を淹れる。静が「どちらでもいい」と知的負荷の放棄を示すと、小春は完璧な提案者としての役割を切り替え、洋食・和食どちらでも...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「ボストークの沈黙」

栞は、武功が立ち寄るBAR「ボストーク」を訪れ、店主の宗方奈落に原稿の束を預ける。奈落は栞をヒヨッコだと拒絶するが、「置いていけ」とだけ告げる。数日後、栞は奈落から武功の赤字がびっしりと書き込まれた原稿を返される。
箱庭小説(掌編・スケッチ)

掌編「『カンガルー日和』日和」

千早亭小倉・作「今日は、完璧な『カンガルー日和』日和ね」彼女はそう言って、窓際のテーブルに置かれた古い文庫本の表紙を指先でなぞった。——村上春樹の『カンガルー日和』。僕たちはその本を一緒に読むのに相応しい朝が来るのを、それこそカンガルーの誕...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「常磐荘綺談」

ジッポーのキシンッという金属音が響いた。湿った苔と冷え始めた土の匂いを、オイルがたちまち上書きする。安煙草の紫煙が囁くように耳元を通り過ぎても、鴨下栞は振り返らなかった。この石階段は栞の観測所だが、同時に、後ろにいるたたこの指定喫煙所でもあ...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「お菓子どうどうめぐり」

活田町のライブハウス「ガーデンガガガーデン」の楽屋は、人の匂いがした。ステージの狂騒を吸い込んだアンプが、沈黙のうちに熱を放っている。床には無数の靴跡と、黒いシールドケーブルが力なく転がっていた。誰かが、込み上げる感情を唾と一緒に飲み下す音...