箱庭小説

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掌編「一本道」

氷上静は、実家の門を背にして歩き出した。右にはここあん鉄道の線路、左には無機質な住宅の塀が続いている。視界の先まで、古びたアスファルトが約400メートルにわたって単調な直線を引いていた。右にも左にも曲がる場所がない、ただの一本道だ。実家を出...
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箱庭掌編「あの頃、早稲田グランド坂で」

[昭和レトロ]早稲田大学のグランド坂にあるスナック「灯台」を舞台にした掌編小説。一浪して入学したはるひこが、高校時代の不可解な人間関係のカーストを振り返る。狭い教室の息苦しさから、巨大な大学の自由へ。都会の夜、静かに胸に染みる瑞々しい青春の物語。
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箱庭小説「ステキさんのインデックス」

雨が降っている。リビングの大きな窓を叩く雨粒の音は、まるで無数の小さな手で拍手をもらっているみたい。世界がこぞって、今日のステキさんの完璧なスキンケアを祝福してくれているのね。ソファの端では、プリンちゃんがまた、表紙の真っ黒な難しそうな本を...
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箱庭スケッチ「変な癖と当てずっぽう」(対話劇)

椎名町三丁目の雑居ビルにある、編集プロダクション「ぽんちょ」。昨日からの徹夜作業が、ようやくトンネルを抜けたところだった。くたびれたように鳴るコピー機の駆動音を割って、終わりが見えてやけくそ気味にキーボードを叩く音が、朝のオフィスに響いてい...
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箱庭小説「呼応」

午後五時の時報がここあん村に響き渡ると、佐野健は手元のキューシートから一度目を離した。コミュニティFMのスタジオ内は、秒単位で管理された規律の世界だ。無音検知ユニットのランプは正常な緑色を灯し、生放送のインフラは完璧に維持されている。デッド...