2026-05

箱庭コント

箱庭コント34「雨のなかのふたり」

【登場人物】黒崎文:ここあん高校の文芸部部長。文学に魂を求める至上主義者。自身の未熟さを高尚な表現で修飾しようとする癖がある。三島文学に崇敬の念を抱いている。矢尾リリカ:同校の生徒。冷徹でシニカルな観察者。文の良き理解者だが、容赦なく現実を...
箱庭コント

箱庭コント3「卵もロックもロールする」

【登場人物】いときち:23歳。ガールズバンド「栗きんとん99」のギター担当。常に金欠。真田まる:28歳。いときちの姉。ものがたり屋店主。【場面設定】ものがたり屋のカウンターの隅。いときちが古本を開いている。いときち:(本を閉じて)このページ...
箱庭コント

箱庭コント35「画数の重み」

【登場人物】辻さゆり(塩):校正者。感情のノイズを排し、事実の整合性のみを愛する。鴨下留美子:大家。事実よりも、その裏に流れる「物語」の情緒を重んじる。【場面設定】アパート「常磐荘」の入口。さゆりが、表の看板について留美子に詰め寄っている。...
箱庭小説

移動図書館日記(109)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。春の海は、まだ少しの厳しさを残したまま、鈍色の光を反射させていた。海岸沿いの国道を南へと車を走らせる。助手席に座る菜箸千夏さんが、私の運転を穏やかな声で褒めてくれた。「車社会って言っても、通らないとき...
箱庭小説

箱庭スケッチ「外心」

椎名町三丁目の路地裏、「ものがたり屋」。テーブルを挟んで、二人の女が座っている。真田まるは、古い急須から湯呑みにほうじ茶を注いでいる。空野円は、窓の外を流れる雲を見ている。真田まる:円まどかさん、お茶入ったよ。今日のは、よく炒ってあるやつや...