2026-09

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭スケッチ「止まった時間のビスケット」

【登場人物】氷上 静:ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」オーナー。中野 小春:カフェ共同オーナー。【場面設定】昼過ぎ。ブックカフェ「シズカ」。客はいない。氷上静:開かない。(静、小さなマイナスドライバーをカウンターに置く)中野小春:どれど...
ZINE・住民のつぶやき

選ばれた言葉|ZINE「ほつれ」掲載作

かんたは小さな移動図書館車。かんたの朝は、いつも同じ気配で始まる。背中の扉が開き、優しい空気が流れ込む。そして、人の手によって、新しい物語が、かんたの体の中にそっと収められていく。その手つきは、いつも柔らかく、丁寧で、かんたはその気配を「優...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「鶴亀昌子は矛盾している」|地層3

深夜の編集プロダクション「ぽんちょ」は、締め切り間際の独特な熱気に満ちていた。聞こえるのは、パソコンのファンが発する微かな唸りと、誰かのキーボードを叩く乾いた音だけ。その静かな喧騒の中心で、鶴亀昌子——通称かめちゃんは、ゲラの赤字と孤独な戦...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「鈴が鳴る」|地層3

気象庁が今年も「梅雨入りしたとみられる」と、その一言に科学の誠実さを詰め込んで発表した日の午後。ここあん鉄道「大学前」駅のホームには、肌に粘つく生ぬるい空気が澱んでいた。鉄美鈴くろがねみすずは、駅務室の窓から灰色の雲が低く垂れ込める空を見上...
箱庭コント

箱庭コント317「全肯定の鏡」

【登場人物】矢尾 玲子:自称ステキさん。世界のすべては、ステキさん(自分)を輝かせるためにある。ダダダさん:不思議おじさん。相手の言葉を全肯定する。徒然士:文芸評論家。曖昧な関係や定義できない事象を見ると、モヤモヤする。【場面設定】ここあん...