おはぎはんの突撃ルポ!「ここあん村」名前の由来、要するにこういうこっちゃ!

(椎名町三丁目、ものがたり屋にて)

おはぎはん:なあ、まる。うち、さっき古河書店の佐助のおっちゃんに「ここあん村の名前の由来」について取材してきたんやけどな。

真田まる:おん、お疲れさん。FMここあん用の原稿やろ。そのあと、『月刊ぽんちょ』にも掲載するって聞いたで。

おはぎはん:それやそれ。

まる:で、佐助さん、なんて言うてはったん?

おはぎはん:それがな、めっちゃ辛気臭いねん。昔の文献がどうの、地のエネルギーがどうのって、もう眠とうてしゃあない。だいたい、あの手の話は難しすぎて読者には刺さらへんわ。せやから、うちのジャーナリスト魂で、ガツンと分かりやすく噛み砕いて記事にまとめたったで!

まる:どうせまた豪快に丸めたんやろ。で、どんな記事になったん、読んでみい?

おはぎはん:こういうこっちゃ!

*****

えー、FMここあんリスナーの皆さん、そして『月刊ぽんちょ』読者の皆さん、こんにちは! 現場主義のライター、おはぎはんです! 今日はな、うちらが住んでるこの「ここあん村」、なんでこんな名前になったんか、その秘密を大公開するで!

昔々、この辺りはただの原っぱと森やったらしいんやけど、そこに世間のしがらみが嫌になった物書きとか、絵描きとか、要するに「おもろいことしたいだけの変人ら」が集まってきたんやて。ほんで、彼らはこの土地に「九つのいおり」、つまり自分らだけの秘密基地を作ったんや。

九つの庵があるから「九箇庵ここかあん」。それが長いこと口に出して言われてるうちに、訛って丸うなって「小古庵ここあん」になったんやと!

じゃあ、その九つの庵って、どこにあって、何してたんか。うちが勝手に……いや、独自の取材で解明した特徴を一挙に紹介するで!

東風こちの庵 今の東風公園のあたりやな。ここは風流を気取った俳人や詩人らが集まって、ひたすら風に吹かれながら一句ひねる場所やったんやろな。たぶん、しょっちゅう風邪引いとったと思うわ。

総房そうぼうの庵 今じゃネット環境だけのゴーストタウンみたいになってる総房やけど、昔から部屋にずっと引きこもって、ひたすら絵ばっかり描いてるオタク気質の絵描きらの溜まり場やったんや。今も昔も、やることは変わらへんね!

活田かったの庵 今のここあん湖の底に沈んでもうたあたり。ここは名前の通り「活き」のええ連中が集まって、毎晩酒飲んでどんちゃん騒ぎしながら芝居の真似事やらやってた、村の宴会場やね! 絶対一番うるさかったはずやわ。

小名ちいなの庵 ペンタの麓の、今の音巴里荘があるあたり。無名の彫刻家とかが、ちまちまと木を削ったり石を叩いたりする工房や。音巴里荘のルーツがここにあるんやな。

克枯かつかれの庵 昭和の匂いが残る商店街のあたりやけど、ここはスタミナ重視の肉体労働派の職人らが集まっとった場所や。カレー食べてたわけやないやろけど、とりあえずメシを腹いっぱい食って木材運んどったんやろな。

小古八幡ここはちまんの庵 今の寺社町のとこ。創作に行き詰まった連中が、「神様、ええアイデア降ってきますように!」って神頼みするために集まる場所や。最後は結局、お祭り騒ぎして終わっとったんやろうけど。

⑦丘の庵 今は、「成城ヶ丘」なんて気取った名前になってるあたりや。丘の上から下界を見下ろして、「人間とは何か」とか難しい哲学を語る、ちょっと気取ったインテリ層のサロンや。今もマウントの取り合いしてるあたり、血は争えへんね。

小古庵ここあんの庵 いまのブックカフェ「シズカ」や喫茶「小古庵」のあたり。ここが九つの庵のまとめ役で、みんながお茶飲んでだ弁る中心地やったんやて!

ほんで、最後の九つ目がこれや!

⑨北の庵 今のペンタのあたりやな。一番の変人らが、天体観測とか言いながら夜更かしして空ばっかり見てた秘密基地や!

でな、うちの取材によると、この「⑨北の庵」と、「③活田の庵」は、なんと地下のトンネルで繋がっとったらしいんや! 佐助のおっちゃんは「気を循環させるため」とか言うとったけど、絶対ちゃうね! 北の森で空見てて、寒うなったり酒が切れたりしたら、地下道通ってこっそり活田の宴会場に酒飲みに合流しとったんや! 間違いないわ! 昔の連中も、やることちゃっかりしとるで!

ちなみに、椎名町3丁目は九つの庵に入ってへんのやけど、それはなんでか。 あそこは、庵の連中が外界に絵の具やら酒やらを買い出しに行くための「関所」みたいなもんやったんやて。外界の現実と、庵の連中の趣味の世界を分ける場所。だから今でも、ちょっと時空がズレとるんかもしれへんな。

というわけで、ここあん村は昔から「おもろい連中が好き勝手やる秘密基地」の集まりやったっちゅうことや! どうや、歴史ってロマンがあるやろ!

(諸説ありやで)

おはぎはん:どうや、まる。われながら、ようまとまっとるやろ?

まる:まあ、熱意だけは伝わってきたわ。でな、おはぎ。「庵」ってもっと、老人がひとりで静かに過ごしたりする場所やないん? なんかどこもかしこも、やたら騒がしい感じやけど、ほんまにそんなやったろか?

おはぎはん:まるは真面目やなあ。ここあん村の昔の連中が、そない大人しいわけないやろ! 隠居とか修行とか言いながら、絶対裏でどんちゃん騒ぎしとったはずや! そういう泥臭い真実を暴くのが、ジャーナリストの仕事なんやで!

(まるとおはぎはんが冷めたほうじ茶をすすっていると、ものがたり屋の木戸が音もなく開いた。編集プロダクション「ぽんちょ」の社員、臼葉が入ってくる)

臼葉:おはぎはん、原稿そろそろできたころやないかなと思って。

おはぎはん:そんな、こっちから届けますのに。

まる:おはぎ、あんた、信用されてないんちゃう?

おはぎはん:まる、何を抜かしよるんや!

(おはぎはんが胸を張って原稿の束を渡す。臼葉はそれを受け取ると、中身をパラパラとめくり、指先を小刻みに震わせ始める)

臼葉:熱いですね。実に素晴らしい熱量だ。ですが、少し構成が単調ですね。北の森と地下トンネルのくだりは、宇宙からの電磁波通信の要素を足した方が、雑誌としての販売部数が1.5倍に跳ね上がるはずです。

おはぎはん・まる:え?

臼葉:(原稿の角を机でトントンと執拗に揃えながら)宇宙、地下、電磁波……(ぶつぶつと呟きながら、そのまま路地裏へと消えていく)

(おはぎはんとまるも店の外に出る)

おはぎはん:ちょっと待って! 適当に直すって何や! あんた前にも徒然先生の原稿勝手に書き直して大目玉食らっとったやんか! うちの原稿に変なこと書かんといてや!

まる:おはぎ、もう遅いで。あの人の背中、もう見えへんわ。

おはぎはん:あかーーん! うちのジャーナリズムが、宇宙人に乗っ取られるーーっ!

(了)

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|箱庭コントを紡ぐ 話紡庵レーベル All Rights Reserved.

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|箱庭コントを紡ぐ 話紡庵レーベル All Rights Reserved.

スポット
higashiboctokをフォローする
タイトルとURLをコピーしました