18. 人新世の不整合面

日曜の午後は、思考が普段より遠くまで拡散していく。アパートの窓から、少し離れた場所にある大規模な建設現場を眺めていた。古いビルが解体された跡地に、巨大なクレーンが林立している。

多くの人々にとって、これは「再開発」という名の、経済活動の風景だろう。しかし私の眼には、地質時代の境界が形成される瞬間に見えた。古いビルの解体は、この区画における生物群の「大量絶滅」イベントだ。そして、地面を深く掘削する行為は、過去の地層を削り取る大規模な侵食作用に他ならない。

掘り起こされた地面の底に、鉄筋が格子状に組まれ、コンクリートが流し込まれている。これが、この土地の新たな「基盤岩」となる。数千万年後の未来の地質学者がこの地層を発掘した時、彼らはこの人工的な岩盤層を、一つの時代の終わりと新しい時代の始まりを告げる、明瞭な不整合面として記録するだろう。

そして、この基盤の上に、鉄骨とガラスでできた高層ビルという、現代の環境に適応進化した「新種の生物」が、爆発的な速さで「放散」していく。コンクリート、プラスチック、アスファルト――それらは、我々の時代を特徴づける「人工化石テック・フォシル」として、地層にその奇妙な形態を永遠に刻み込む。

我々は皆、未来の地層を創り出す、極めて強力な地質学的営力だ。窓の外の建設現場は、都市の発展の象徴などではない。人新世という、新しい地質時代の地層が、今まさに堆積している現場そのものなのだ。

化野環「古生物学小日記」

*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。
*The articles on this site were written by a human, peppered with AI.
*無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|話紡庵レーベル All Rights Reserved.

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ものがたり
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