箱庭小説

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箱庭スケッチ「変な癖と当てずっぽう」(対話劇)

椎名町三丁目の雑居ビルにある、編集プロダクション「ぽんちょ」。昨日からの徹夜作業が、ようやくトンネルを抜けたところだった。くたびれたように鳴るコピー機の駆動音を割って、終わりが見えてやけくそ気味にキーボードを叩く音が、朝のオフィスに響いてい...
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移動図書館日記(114)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。息を、口から細く長く吐き出す。吐いた分だけの空気が、鼻の奥をすっと抜けていく。今日の朝の空気は、春の匂いを含んであたたかくさえ感じた。ただ、ここあん村からやってきた千夏さんにとっては、まだ肌を刺すよう...
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箱庭ラノベ|第24話 雪だるまとパフェの解剖学|ここあん高校文芸部

文芸部室の長机に広げられた、一枚の大きな白紙。左側には、天野光が描いた、子供の落書きのような、しかし不思議な熱量を放つ「幸福」の絵。右側には、僕、神崎一樹がその絵を翻訳し、再構築した、無機質な「物語の骨格」。僕と天野さんは、その奇妙な設計図...
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箱庭小説「呼応」

午後五時の時報がここあん村に響き渡ると、佐野健は手元のキューシートから一度目を離した。コミュニティFMのスタジオ内は、秒単位で管理された規律の世界だ。無音検知ユニットのランプは正常な緑色を灯し、生放送のインフラは完璧に維持されている。デッド...
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19. 焦点深度という誠実さ|化野環古生物学小日記

週末の拡散した思考を収束させるように、月曜の午前は顕微鏡の前に座る。カンブリア紀の頁岩から切り出した薄片をステージに載せ、接眼レンズを覗き込む。最初は、光の滲んだ、意味をなさない世界が広がっている。粗動ハンドルを回すと、像がぼんやりと結び始...