徒然士

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭スケッチ「どっちどっち」|地層3

どっちどっち喫茶「小古庵」の昼下がり。店の神崎志乃ママが静かにカップを磨くカウンターから少し離れたテーブルで、文芸評論家の徒然士が大仰なため息をついた。「実に嘆かわしい。今の世は、口を開けば敵か味方か、善か悪か、好きか嫌いか、正しいか正しく...
箱庭コント

箱庭コント341「フフフのおばさん」

【登場人物】徒然士:文字の造形や言葉の起源に過剰なこだわりを持つ文芸評論家。菜箸かな:落ち着いた気品のある翻訳家。竹ぼうきで落ち葉を掃いている。【場面設定】秋の午後。きさらぎタウンのイチョウ並木。黄色い落ち葉が一面に散らばっている。(菜箸か...
箱庭コント

箱庭コント339「モーレツ当たろう」

【登場人物】徒然士:ここあん大学日本文学科講師で文芸評論家。完璧な様式美を愛し、大仰な講釈を垂れる。辻さゆり:フリーランスの校正者。無駄な装飾を冷徹に削ぎ落とす言葉の外科医。【場面設定】昼下がり。編集プロダクション「ぽんちょ」の打ち合わせス...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説「鶴亀昌子は矛盾している」|地層3

深夜の編集プロダクション「ぽんちょ」は、締め切り間際の独特な熱気に満ちていた。聞こえるのは、パソコンのファンが発する微かな唸りと、誰かのキーボードを叩く乾いた音だけ。その静かな喧騒の中心で、鶴亀昌子——通称かめちゃんは、ゲラの赤字と孤独な戦...
箱庭コント

箱庭コント317「全肯定の鏡」

【登場人物】矢尾 玲子:自称ステキさん。世界のすべては、ステキさん(自分)を輝かせるためにある。ダダダさん:不思議おじさん。相手の言葉を全肯定する。徒然士:文芸評論家。曖昧な関係や定義できない事象を見ると、モヤモヤする。【場面設定】ここあん...