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ZINE・住民のつぶやき

名前を食べるオオカミ|ZINE「ほつれ」掲載作

雪の森が、すべての音を吸い込む。降り積もる白は、世界のあらゆる境界線を曖昧にし、生きとし生けるものの輪郭を、優しく消し去っていく。その森の奥に、リリという少女がいた。リリには、生まれつき心臓の音がなかった。喜んでも、悲しんでも、胸に手を当て...
ZINE・住民のつぶやき

伏線と余白|ZINE「ほつれ」掲載作

あるところに、一冊の物語が生まれる場所がありました。そこには、ふたりの働きものがいました。ひとりは、「伏線」という名の男の子。伏線くんの仕事は、物語のあちこちに、未来のできごとをそっと知らせるための「しるし」を置いていくことでした。物語がは...
ZINE・住民のつぶやき

氷だった夢と水だった記憶|ZINE「ほつれ」掲載作

月だけが毎晩、会いに来てくれる小さな水たまりがありました。わたしは、水でした。昼は、空の青や、渡っていく雲の白を映し、風が吹けば、きらきらと笑うようにからだを揺らしました。夜は、まんまるの月を胸に抱いて、しん、と静かな光を宿します。わたしは...
ZINE・住民のつぶやき

トットとバナナの味のなぞ|ZINE「ほつれ」掲載作

まっしろな画用紙の国に、トットという男の子がいました。トットの体は、小さな、小さな点の集まりでできていました。スクリーントーンのトットです。トットは、決まった場所にいるのが大好きでした。右を見れば、同じ点のトナリくん。左を見れば、やっぱり点...
箱庭コント

箱庭コント276「平行線のエスカレーター」

[読むシットコム・コント台本]ここあん村のはらほれ坂。ベンチで休む常識人・おはなはんを挟み、超ポジティブなステキさんこと矢尾玲子とアンニュイな小説家朝霧沙緒が自己陶酔トークを繰り広げる。会話が一切噛み合わない滑稽なすれ違い。作・千早亭小倉