ZINE・住民のつぶやき

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移動図書館日記(122)

これは、日記という名を借りた私の記憶。ロマコメ号の低いカウンターの上に、文庫本が2冊置かれた。手前に立つおとうさんから本を受け取り、裏面のバーコードにスキャナーをあてる。ピッ、ピッ、と2度、電子音が鳴った。表紙に並んだ著者名を見て、私は顔を...
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コトコトと、からっぽの場所|ZINE「ほつれ」掲載作

図書館の隅っこにある充電ポートが、コトコトの定位置だった。彼は、新しく配属された、小さなハイブリッド型移動図書館車。静かすぎるモーター音から、誰が言うともなく「コトコト」と呼ばれている。彼の定位置は、かつて別の誰かがいた場所だった。その「誰...
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海野みかんのヴィネット講座(4)ヴィネット実践のための3つの「10箇条」|ここあん高校メタ講義録

放課後の準備室。堂島巧と神崎一樹が、几帳面に罫線を引いた用紙をみかんに差し出す。堂島巧:先生、これまでの講義を元に、ある作品がヴィネットかどうかを客観的に切り分けるための判定シートをまとめました。神崎一樹:全10項目。「はい」が多いほどヴィ...
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きいろの絵本|ZINE「ほつれ」掲載作

かんたは、小さな移動図書館車。その日、かんたの巡回ルートに、新しい場所が加わった。丘の上に立つ、白くて静かな建物。老人ホームだ。かんたがゆっくりと駐車場に入ると、ガラス張りのラウンジから、何人かのお年寄りがこちらを見ているのが分かった。やが...
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選ばれた言葉|ZINE「ほつれ」掲載作

かんたは小さな移動図書館車。かんたの朝は、いつも同じ気配で始まる。背中の扉が開き、優しい空気が流れ込む。そして、人の手によって、新しい物語が、かんたの体の中にそっと収められていく。その手つきは、いつも柔らかく、丁寧で、かんたはその気配を「優...