ZINE・住民のつぶやき

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移動図書館日記(121)

これは、日記という名を借りた私の記憶。巡回先の広場にロマコメ号を停め、設営を済ませる。いつもの利用者さんとのやり取り。返却された本を入れるコンテナを整理する。利用者の姿がいったん途切れる。必ずといっていいほど訪れる、この一瞬が好きだ。ひと息...
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灰色の国のツミ|ZINE「ほつれ」掲載作

ここは、物語が生まれては消えていく国。その国は、絶対的な十の法則によって統べられていた。一、慰めより問いを。二、世界の不条理さを隠すな。三、死を世界の部品として描け。このような法則がきっかり、十。人々は、その法則を編んだ者の名を借りて、「静...
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ぼくのゴーストライターはぼくだった|ZINE「ペンタ」掲載作

カイ(12歳)は、嘘つきだ。カイの部屋の壁には、児童文学賞の賞状が何枚も飾られている。雑誌には「驚くべき才能! 史上最年少の天才、現る」なんて見出しで特集が組まれたこともある。クラスメイトはカイを「作家先生」と呼び、大人たちは「君の感性は素...
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名前を食べるオオカミ|ZINE「ほつれ」掲載作

雪の森が、すべての音を吸い込む。降り積もる白は、世界のあらゆる境界線を曖昧にし、生きとし生けるものの輪郭を、優しく消し去っていく。その森の奥に、リリという少女がいた。リリには、生まれつき心臓の音がなかった。喜んでも、悲しんでも、胸に手を当て...
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伏線と余白|ZINE「ほつれ」掲載作

あるところに、一冊の物語が生まれる場所がありました。そこには、ふたりの働きものがいました。ひとりは、「伏線」という名の男の子。伏線くんの仕事は、物語のあちこちに、未来のできごとをそっと知らせるための「しるし」を置いていくことでした。物語がは...