登場人物
黒崎文:文芸部部長。言葉に対してひたすら厳しい。
天野光:女子バスケ部。なんでも肯定しようとする。のちに文芸部員に。
場面設定
放課後の教室。机の上に、コンビニのたまごサンドイッチが一つ置かれている。

天野:ねえ文ちゃん、このサンドイッチ、中身がすごくはみ出してるよ。
黒崎:それはただの不始末。
天野:でも、自分の一番いいところを見せようとしてるみたいで、かわいいじゃない。
黒崎:いいところを見せるのと、だらしなくこぼれているのは違う。
天野:こぼれるのは、それだけ中身が詰まってるってことだよ。
黒崎:中身が多ければいいという考えは、とても安っぽい。
天野:安くてもいいよ。だってお腹が空いている時に、これが目の前にあったら嬉しいもん。
黒崎:光は石ころが落ちていても、その忍耐強さを褒めそうね。
天野:石だって、何十年もあそこでじっとしてるのは偉いと思う。
黒崎:その全肯定が、言葉の重みを奪っていることに気づきなさい。
天野:重いと、砲丸みたいに弾まなくなっちゃうよ。
黒崎:弾まなくていい。言葉は地面に深く突き刺さるものであるべきよ。
天野:突き刺さったら、抜くのが大変だよ。
黒崎:抜けないからこそ、そこに居場所ができるの。このサンドイッチには、それがない。
天野:私は、ふわふわしてるからこそ、どこへでも行ける気がするけどな。
黒崎:どこへでも行けるのは、どこにもいたくないのと同じ。
天野:そんなに難しく考えなくても、一口食べれば黄色い味がするよ。
黒崎:黄色い味なんて言葉、この世にはない。
天野:今、私が作ったの。文ちゃんも一口食べて、色と重さを感じてみなって。
(幕)
作・千早亭小倉

天野 光|箱庭ここあん村の住人紹介
氏名:天野 光 (あまの ひかり)年齢・性別:高校生・女性肩書:ここあん高校 3年C組/女子バスケ部員新興住宅街「きさらぎタウン」に住み、巨大塔ペンタの下層階へと通う快活なヒロインです。バスケで鍛えたしなやかな筋肉と日焼けした肌を持ち、周囲…

黒崎 文|箱庭ここあん村の住人紹介
氏名:黒崎 文(くろさき ふみ)年齢・性別:10代後半(高校生)・女性肩書:ここあん高校(私立鳥瞰学園)文芸部部長ここあん高校の絶対的支配者/矢尾リリカのライバル(?)部室の窓際で、琥珀色の麦茶をウイスキーのようにグラスで嗜む孤高の美少女。…


