おはぎはんの街ルポ(1)「克枯地区」

FMここあんリスナーの皆さん、月刊「ぽんちょ」読者の皆さん! 現場主義のライター、おはぎはんやで!

今日うちはな、克枯かつかれ地区の商店街に足運んどるんよ。靴の底がすり減るくらい歩き回って見つけた今日のネタは、ずばり「新しくなった街灯」や。

日が落ちて、空が暗うなってきたころ。パッと一斉に街灯がついた。それ見て、うち、思わず履きつぶしたスニーカーのつま先でアスファルトをトントン叩いてもうたわ。

水色やんか。水色のLEDライト。

確かに明るいわ。横に立っとる街路樹の葉っぱの形まで、地面に黒くてくっきりした影を落としとる。画用紙をハサミで切り抜いたみたいや。せやけど、なんや寒々しいねん。焼き鳥の煙とか、夕飯の買い物客の熱気とか、そういう昭和の匂いが残るこの商店街に、この冷たい光はちょっと合わへんのとちゃうか?

「おう、おはぎちゃん! どうだ、新しくなった街灯は! ワシの肝いりだぞ!」

道の向こうからでっかい声出して歩いてきたんは、商店街会長でスーパー「人生」のオーナー、郷田のおっちゃんや。腕まくりして、胸張ってドヤ顔しとる。

「郷田会長、お疲れ様です。明るいのはええんですけど、なんでまた水色なんですか? スーパーに並んどる特売の肉が、ちっとも美味しそうに見えへん光ですよ」

うちが鼻の頭にかいた汗を手の甲でぬぐいながら言うと、郷田会長は一瞬だけ目を泳がせた。

「ば、馬鹿野郎! 防犯だよ防犯! 青っぽい光は気持ちを落ち着かせて、悪いことを減らすんだ……と聞いた。それに、ゆくゆくはこのスーパーの前にワシの銅像を建てるだろ? その銅像の顔をピカッとカッコよく照らすには、これくらいシュッとした光の方がええんだよ! 郷田でGOだ!」

防犯のついでに自分の銅像照らす気満々やんか。うち、持っとった取材ノートを両手でギュッと握りしめたわ。

「会長、そんな見栄はるために商店街の光変えたらあきませんて! 克枯は汗とか涙とか、お惣菜のコロッケ揚がる匂いとか、そういうのが似合うところやろ? 水色の光の下やと、歩いてる人の顔色まで悪う見えますわ。人の体温がちっとも伝わってきぃへん!」

うちがぐいっと一歩前に出た瞬間、腹の虫がグーッと派手に鳴りよった。

郷田会長はそれ聞いて、腹抱えてガハハとでっかい声で笑った。

「なんだお前、ただ腹減ってるだけじゃねえか!」

「しゃあないですやん! 朝から現場歩き回っとるんですから!」

「しゃあねえな! よし、まっちゃんの店で飯食っていくか! ワシが奢ってやる!」

「ほんまですか! 会長、一生ついていきますわ!」

水色のライトの下でも、この商店街の熱気はまだまだ冷めへんみたいや。ほな、うちは今から唐揚げ食うてくるわ!次回のルポも楽しみにしといてや!

文・おはぎはん

[コント台本・小説450本以上]

主な舞台は、椎名町三丁目から広がる箱庭「ここあん村」。箱庭コント作家・千早亭小倉の手による、どこか懐かしい日常劇やクスッと笑えるコメディ、沁みる掌編を絶賛公開中です。これからも「読むシットコム」の世界を追究していきます。
*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。 *The articles on this site were written by a human, peppered with AI. *無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|箱庭コントを紡ぐ 話紡庵レーベル All Rights Reserved.

[コント台本・小説450本以上]

主な舞台は、椎名町三丁目から広がる箱庭「ここあん村」。箱庭コント作家・千早亭小倉の手による、どこか懐かしい日常劇やクスッと笑えるコメディ、沁みる掌編を絶賛公開中です。これからも「読むシットコム」の世界を追究していきます。
*ここあん村および本サイトに掲載している小説類の設定はフィクションです。 *The articles on this site were written by a human, peppered with AI. *無断転載禁止 Copyright © 2025 千早亭小倉|箱庭コントを紡ぐ 話紡庵レーベル All Rights Reserved.

住民のつぶやき
higashiboctokをフォローする
タイトルとURLをコピーしました