FMここあんリスナーの皆さん、月刊「ぽんちょ」読者の皆さん! 面白そうと思ったら即行動の現場主義ライター、おはぎはんです!

今日うちは、復興の最前線、ボストー区に来とるで! 相変わらずトラックがひっきりなしに通って、うちのスニーカーの裏には泥がべっとりこびりついとるわ。
さて、今日の現場はここや。先週までただの空き地やった場所に、背の高い仮囲いの防音シートがぐるっと張られとる。中からは、ドスンドスンっていう重たい音と、エンジンの低い唸り声が響いてきよる。シートの隙間からちょっと首を突っ込んで覗いてみたら、でっかい黄色の油圧ショベルが、土をガバッとすくい上げとったわ。砂埃が舞って、土の匂いが鼻にツンとくる。これからここに、また新しい家が建つんやな。
そんな熱い現場をノートに書き留めようとしたら、防音シートのすぐ横で、長い棒を持った男の人が立っとった。ヘッドホンをして、棒の先っぽについたマイクをシートの隙間に向けて、じっと動かへんねん。
「ちょっと、お兄さん! そこで何してはるん?」
うちが声をかけると、その人――ボストー区に住んでる録音技師の音山拾さんやった――は、こっちをチラッと見て、口元に人差し指を当てた。
「シーッ。今、キャタピラが泥を噛み砕く、最高の摩擦音が録れるところなんだ」
「摩擦音? ただの工事の音ですやん!」
「君にはそう聞こえるのか。この黄色の油圧ショベル、アームの関節部分から出る金属の軋みが完璧なんだよ。それが防音シートで反響して、見事な低音に仕上がっている。これぞ生きたノイズだ」
音山さんはヘッドホンを片手で押さえながら、マイクの角度を数ミリだけ微調整しとる。うちが現場の熱気とか、新しい家が建つ期待感を記事にしようとしとるのに、この人はただの「音」しか聞いとらんのや。
「そんな金属の音より、ここに家が建つっていう人間の生活の匂いのほうが大事やろ!」
うちが一歩踏み込んでノートを突きつけた、その瞬間やった。
「ぐきゅるるるるー」
うちの腹が、自分でも引くくらい派手な音を鳴らしよった。朝から歩き回って、何も食うてへんかったんや。
すかさず、音山さんがマイクをうちの腹のほうに向けた。
「すごい。胃壁の収縮と空気が混ざり合った、完璧な破裂音だ。はらぎはん、もう一回鳴らしてくれないか」
「誰が、はらぎはんやねん。おはぎはんや。人の腹の音を録るな! アホ!」
うちはノートを閉じて、マイクからバッと距離を取った。
ボストー区は、家を建てる重機の音も、変な録音技師のこだわりも、うちの腹の虫も、全部ごちゃ混ぜになって響いとる。これこそ現場の熱量や! さて、うちはたまらずスーパー「人生」に弁当買いに行ってくるわ! ほな、また次のルポでな!
文・おはぎはん





