箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭ラノベ|第20話 エラーとリセット|ここあん高校文芸部

太陽が、雲に隠れた。部室の空気は、今までで一番、重く、そして冷たく、僕らの間に沈んでいった。天野さんの「嫌いだな」という一言は、短いナイフのように、僕の胸に突き刺さったまま抜けない。僕の異常性は、またしても人間を描くことに失敗した。それ以上...
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移動図書館日記(112)遠野編

これは、日記の名を借りた、中野文の記憶。遠野の夜は、東京とは違う深い静寂に包まれている。鱒沢ますざわで過ごす最後の夜。客間に敷いた布団でくつろぎながら、ここあん村から訪ねてきてくれた菜箸千夏さんが、ふと思いついたように、私に尋ねた。「文さん...
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新作落語「スパイス・ファミリー」酔酔亭なまくら

(ゆっくりと客席を見渡し、にこやかに)近頃はまことに便利な世の中になったもので、スマートフォン一つあれば何でもできます。テレビに映るQRコードも、スマホをかざせば情報が見られますものね。しかし、こうした文明の利器も、使い方を知らぬ者にはただ...
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箱庭小説|番外編014. 出来心と及第点|二つ目の落語家と代弾きピアニストの恋

伸び悩む落語家・酔酔亭馬楼と、代弾きピアニスト・糠森ひな。中編『二つ目の落語家と代弾きピアニストの恋』で二人が別々の道を歩み出す前の、不器用で愛おしい日常を切り取ったショートスケッチ集。公園のベンチ。街灯の光の下、糠森ひなは図書館で借りた分...
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箱庭ラノベ|第19話 幸福の描き方|ここあん高校文芸部

地獄のような観測の果てに僕が手にした「幸福の設計図」。それをもとに、僕は再び白紙の原稿用紙と対峙していた。黒崎部長の命令は明確だ。「回復のプロセス」を描け、と。だが、それは言うほど簡単なことではなかった。僕の脳は、レポートに記した分析結果―...