箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭ラノベ|第30話 共犯者たちのプレリュード|ここあん高校文芸部

「……あとは任せたぞ、天野」その、静かで、しかし、有無を言わせぬ響きを持った一言で、僕たちの絶対女王、罵倒女神、黒崎部長は部室を去った。ん、天野さん?天野さんに任せる?僕の頭の中を、その疑問が支配した。いま書き進めている小説『コンクリートの...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭ラノベ|第29話 怠惰の魔女と最後の言葉|ここあん高校文芸部

数分後、部室のドアが億劫そうに開かれた。開くのが「面倒くさい」とでも言うように。そこに立っていたのは、僕の想像をあらゆる意味で裏切る人物だった。よれよれのジャージ。鳥の巣のようにボサボサの黒髪。美しい造形をしているはずなのに、その全てを台無...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

箱庭ラノベ|第28話 女王陛下の不協和音|ここあん高校文芸部

屋上での一件の後、僕と天野さんとの間には、どこか奇妙な空気が流れていた。それは決して悪い空気ではない。僕と天野さんの間で、明確なシナジーが形成されつつあった。僕の論理が行き詰まれば、彼女が感性という名の別ルートを提示する。彼女の表現が出口を...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

概念ラノベ 第5講・第3話「はるひこ一家と、解読不能の弟・なつひこ」

世田谷区砧の、新築風の平屋。その庭の隅っこ、名前も知らない大きな葉っぱの下――イチローたちが路地で見かけた少年が勝手に「ハル区」と名付けて、角の丸い石や蝉の抜け殻を住まわせている領土を、3つの怪しい影が侵略していた。いや、実際は、単にその上...
箱庭小説(掌編・スケッチ)

移動図書館日記(119)

[移動図書館のものがたり]ここあん村移動図書館司書・菜箸千夏の日記。時代小説を千冊読んだおかあさん、居心地の良い木造仮設から引っ越すことになり、日々の便利さと居心地の良さの間で揺れる。仮設は平岩弓枝が描く『御宿かわせみ』のようなあたたかな「宿」だった。