箱庭コント21「4ママ誕生」
(あらすじ)喫茶「小古庵」のママである神崎志乃が、閑古鳥の鳴く店内でテーブルを拭きながら、自分は商売に向いていないのではないかと涙ぐんで落ち込んでいるところ。そこへ居酒屋のママである渡尾愛子(ラブちゃん)が勢いよく飛び込んできて、娘を煮すぎて鍋を泥沼にしてしまったという突拍子もない愚痴をまくし立てて騒ぎ立てる。
箱庭コント22「I wanna どぅ!」
(あらすじ)ここあん大学の日本文学科講師である鍋島潤が、学内のラウンジでテーブルの上に置かれた水を取ってほしいと声をかけたところ。そこへ同僚講師の徒然士が「みどぅ」と独特な発音で水を手渡し、語源や歴史的仮名遣いのこだわりを持ち出して、令和の世に古語の発音を再現すべきだと講釈を垂れ始める。
箱庭コント23「あえて説明調」
(あらすじ)きさらぎタウンの文化会館内にある図書室で、翻訳家の菜箸かなが仕事の参考にしようと、棚にある美術書の装幀集へ静かに手を伸ばしたところ。そこへ同じ本を手に取ろうとした矢尾玲子が、完璧な笑顔と芝居がかった高い声で譲り合いを演出しながら、かなの服装や知的な仕事を値踏みするように過剰に褒めそやしてくる。
箱庭コント24「アタラクシアの絵本」
(あらすじ)ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」のオーナーである氷上静が、カウンターで珈琲を淹れながら、絵本を読む客の真木まきへ「絵本は秩序だった保護区への避難だ」と独自の哲学的分析を投げかけたところ。図書館司書であるまきが穏やかな笑顔を崩さぬまま、ストア派的な見方を退けて独自の快楽主義的な解釈をさらりと突きつけてくる。
箱庭コント25「エアコンリモコンこんここん」
(あらすじ)バスケ部の練習を終えて汗だくで帰宅したここあん高校生天野光が、猛暑のリビングでエアコンの設定温度を下げようとリモコンに手を伸ばしたところ。そこへソファで読書中の母であるここあん大学哲学科講師空野円が、涼しさを求めるのは熱への執着であり肉体の言いなりだと、静かに哲学的な理屈を並べて娘の行動を牽制してくる。
箱庭コント26「エスプリとエスプレッソの不整合」
(あらすじ)ここあん高校文芸部部長の黒崎文が、ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」の席で新人賞受賞作を読みふけり、作品に魂の輝きである「エスプリ」が欠けていると毒づいているところ。そこへ部員の堂島巧が「エスプレッソ」の抽出圧力と聞き違えて口を挟み、魂の定義や作品への実装度を数値で観測しようと論理的な分析を仕掛けてくる。
箱庭コント27「ここあんタワー竣工式」
(あらすじ)喫茶「小古庵」の店内で、ここあん大学講師の徒然士が広報誌を開き、ここあんタワー竣工を称える文化人の気取った美文を古臭いと不機嫌そうに睨みつけているところ。そこへ隣に座る名物落語家の酔酔亭馬楼が手元の雑誌を覗き込み、難解な言葉を勝手な駄洒落に変えて茶化しながら、気楽な調子でからかってくる。
箱庭コント28「回文の幽霊と、あの日のホットワイン」
(あらすじ)箱庭コント27「ここあんタワー竣工式」の後日談コント。喫茶「小古庵」の店内で、批評家の氷上静が古い雑誌のバックナンバーをめくり、過去のタワー竣工式に寄せられた美文を過剰で胃もたれがすると分析しているところ。そこへ居合わせた講師の徒然士が、自身が寄稿を逃した昔の悔しさを思い出して大仰に同調し、当時の不満を蒸し返すように語り出す。
箱庭コント29「ジョージとベン」
(あらすじ)ここあん村の劇団「かもかも」座長鴨下留美子作のコント。夜の美術館で、学芸員が閉館作業の掃除を行いながら、展示されている真っ白で無機質な石膏像に異常がないか見回っているところ。そこへ影から首を真横に曲げた謎の男シャーンが奇妙な声を上げて突然姿を現し、自身の絵画技法や社会の歪みについての持論を不気味に語りかけて脅かしてくる。ジョージ・シーガルとベン・シャーンを彷彿とさせる、メタ的アート・コント。
箱庭コント30「スコーンの形而上学」
(あらすじ)百貨店のティールームで、現代思想家の氷上静が、スコーンにクリームとジャムのどちらを先に塗るべきかという手順の論理的必然性を母に説こうと構えているところ。そこへ同席する母の氷上冬子が、胃袋に入ればどれも同じだと大雑把にいなし、娘の神経質な分析を喜劇の演目だと面白がって茶化してくる。哲学的考察付き。
箱庭コント31「ステキサンド」
(あらすじ)矢尾家のリビングで、ステキさんこと矢尾玲子が買ってきた高級茶や菓子を前に、自分を磨くことの素晴らしさにうっとりと浸っているところ。そこへ自室から本を手に出てきた娘のリリカに対し、玲子が満面の笑みで立ちふさがり、一流ホテルのマナー講座を受けて自分を磨くよう一方的に熱弁を振るって絡んでくる。
箱庭コント32「ただの紙の塊」
(あらすじ)シェアハウスのリビングで、映像制作の脚本を担当するえんぴつが、机の上に置かれたフランス装の復刻本を前に、刃を入れるのがもったいないと開封をためらっているところ。そこへ映像編集担当のハサミが通りかかり、読まないならただの紙の塊だと切り捨て、手元のハサミで端を切り落とそうとせっかちに迫る。
箱庭コント33「名優の条件」
(あらすじ)編集プロダクション「ぽんちょ」の事務所で、社長の古河モン太郎が、部下の風変わりな弁当や行動を名優ジョン・カザールの哀愁になぞらえて熱っぽく語っているところ。そこへ凄腕校正者の辻さゆりが赤ペンを走らせながら、名優の演技は徹底した計算の産物であり同列にするのは映画史への冒涜だと冷ややかに反論する。
箱庭コント34「雨のなかのふたり」
(あらすじ)雨が降りしきるここあん湖畔で、ここあん高校文芸部部長の黒崎文が傘もささずに佇み、湖面の飛沫と自身の涙を重ね合わせて文学的な挫折の感傷に浸っているところ。そこへ通りかかった同級生の矢尾リリカが傘を差し伸べつつ、あれは単なる工業用の装置であり雨に濡れているだけの物理現象だと現実を突きつけて突っ込む。
箱庭コント35「画数の重み」
(あらすじ)ここあん村の文壇アパート「常磐荘」の入口で、大家の鴨下留美子が、看板の表記にあえて「盤」の字を用いた理由について、皿の軽やかさや創作の余白といった情緒的なこだわりを語っているところ。そこへ校正者の辻さゆりが手元の資料を手に詰め寄り、どちらの漢字も同じ十五画であり単なる数え間違いだと厳密な事実を突きつけて追及する。
箱庭コント36「ブツブツ」
(あらすじ)公民館の稽古場で、劇団「かもかも」の若手女優である南花おちばが、妙な姿勢で踏ん張りながら必死に演技を続けようとしているところ。そこへ実力派女優の赤井葵や主演のハルが稽古を止め、台本の「ブツブツ(不満げに呟く)」というト書きをおならの音指定だと勘違いして力んでいたおちばの暴走に呆れて突っ込む。
箱庭コント37「はらほれ記念日」
(あらすじ)ここあん湖畔のブックカフェ「シズカ」の店内で、オーナーの氷上静が、メニューの立て札に書かれた奇妙な擬音の記述を見咎め、知性を損なう無秩序な誤植ではないかと共同経営者の中野小春を問い詰めているところ。そこへ常連客の矢尾玲子が華やかに割り込んできて、フランスの詩のようだと独自のポジティブな解釈で勝手に絶賛し始める。
箱庭コント38「ちょんまげが2本生えた日」
(あらすじ)ここあん村の文壇アパート「常磐荘」の管理人室で、文芸評論家の徒然士が、配られたばかりの住民リストを指差し、五十音順で「ダダダ」が自分より上の行に並んでいるのは不当だと大家の鴨下留美子に詰め寄っているところ。そこへ留美子が濁点の重みによる順序だと適当な屁理屈で受け流し、居合わせたダダダさんも呑気に同調して苛立ちを煽る。
箱庭コント39「ステキな洗濯日和」
(あらすじ)自宅のリビングで、「ステキさん」こと、主婦の矢尾玲子が、予算オーバーの高級ドレスをカードで衝動買いした瞬間の高揚感を、素晴らしい「アハ体験」だったと娘に自慢げに語りかけているところ。そこへ冷徹な娘のリリカが、それは単なる散財と買い物依存のドーパミン放出に過ぎないとシニカルな分析を浴びせて現実へ引き戻そうとする。
箱庭コント40「みどりのキュウリ」
(あらすじ)放課後の教室で、ここあん高校生の矢尾リリカが一人静かに読書をして過ごしているところ。そこへ段ボール箱を抱えたここあん村長の緑野翠が息を切らして駆け込んできて、記念講話でスベった決め台詞を繰り返しながら、「みどりの日」の記念品と称して包装すらされていない生のキュウリを無造作に机へ転がして押し付けようとする。



