氏名: 恋流波 東彦(こひるは はるひこ)
ペンネーム: ハリー=ラブ
年齢: 60代半ば
肩書: 元編集者、元塾講師、元団体職員(東北での移動図書館長)。現在はフリーランス。

観察するポンコツ、永遠のモラトリアム青年
基本的にはいつも機嫌が良く、ノー天気な「ポンコツ」を自認する男性です。しかし、人間の欲やマウントの取り合いなどには非常に敏感で、そうした場面ではひどく疲弊してしまうため、対象を「フラットな事実」として観察し記録することで自身を守る癖があります。 照れ屋で不器用なロマンチストであり、真面目な話になるとすぐに昭和のギャグや死語を挟んではぐらかそうとします。
東彦の地層0:原風景としての「はるひこ」と、絵本の隙間
1970年代のホームドラマ群において、国語辞典の例文を読むのが好きな左利きの小学生「はるひこ」として描かれます。頭から湯気を出す神経質な父、無気力な母、そして言葉を話さず「らっら」とハミングする弟「なつひこ」。この少し機能不全な家庭環境の中で、彼は物事を観察しノートに書き留めることで自己を保っていました。
また、幼少期の彼は「中の登場人物が息苦しくなるから」「寝ている間に本の世界とこっちの世界を行き来できるように」と、決して本を完全に閉じず、数ミリの隙間を空けておく習慣がありました。この不器用で優しいエピソードは、のちに息子の陽(ハル)経由で移動図書館司書の菜箸千夏に伝わり、規律に縛られていた彼女の心を救うことになります。
東彦の地層1:青春と『小春ちゃんワンダーランド』
1980年代、早稲田大学のシナリオ研究会に所属していた彼は、年上の社会人であった中野あやねに恋心を抱き、彼女をヒロインに当て書きした8ミリ映画『小春ちゃんワンダーランド~夢で逢えたら』を制作します。撮影中、あやねのいたずらで首筋を噛まれて真っ赤になるなど、純粋で不器用な情熱を燃やしていました。 一方で、実家でアフレコを行っていた際、弟の夏彦の部屋から大きな声が聞こえると血相を変えて飛んでいったというエピソードが残されており、飄々とした態度の裏にある「家族への強い責任感」がこの時期から垣間見えます。
東彦の地層2:痛みの層と、父親の不在
大人になった東彦は、東日本大震災の被災地で団体職員として移動図書館の運行に長年携わります。しかし、この単身赴任の期間が、思春期の息子・陽に「父親の不在(ネグレクト感)」を与えることになりました。現在も福祉施設で暮らす弟・夏彦への思いを含め、彼は家族に対して言葉にできない負い目と不器用な愛情を抱え続けています。
東彦の地層3:モラトリアムの時代と、若者たちとの邂逅
コロナ禍で世界が停滞する「地層3」の時代(中編『ハッピーエンドの瞳』)。 大学生となった息子・陽の幼馴染である聖林太郎が、東彦が40年前に書き上げた『小春ちゃんワンダーランド』のプロットを発見し、リメイク映画の制作に乗り出します。居酒屋「ここきた」で林太郎と対面した東彦は、論理的な整合性やリアリティを求める現代の若者に対し、昭和のギャグで煙に巻き、「人生なんて風に飛ぶティッシュみたいなものさ」と適当な解説ではぐらかします。
しかし、その理屈を超えた「いい加減さ(情緒や熱量)」は、結果的に林太郎の迷走を打ち破るブレイクスルーとなります。また、かつて自分が恋した「あやね」の孫である楓子が新たなヒロインを演じるという数奇な円環を、彼はカウンターの隅でホッピーを煽りながら、静かに、そして嬉しそうに見守っています。






